他のスポーツブランドを圧倒した、ザ・ノース・フェイスのNPSスコアとは
最近ランニングをサボり気味なコージ髙橋です。月間100kmには遠く及ばず、アルコールばかり増えています。気を改めたい今日この頃です。
さて、前回はランニング人口とLTVの関係性について書かせて頂きました。
今回は、ランナーにも人気のブランド、ザ・ノース・フェイスについて取り上げたいと思います。
売上を伸ばすために、ブランドの確立は欠かせません。では、どうすればブランドが確立されるのでしょうか。私の経験も交えて、探りたいと思います。
NPSスコアについて
ブランド評価の指数となるNPSについて、まずお話ししたいと思います。NPSとはネット・プロモーター・スコアのことで、その商品やサービスに、どの程度愛着や信頼を持っているか、友人などにオススメしたいか、を示す「顧客ロイヤリティの指標」のことです。
アメリカのフォーチュン500(フォーチュン誌が年1回編集・発行するリストの1つであり、全米上位500社がその総収入に基づきランキングされる)の内、約30%が、NPSを経営指数として採用していると言われています。
NPSの調査方法は、0-10点で評価し「友人や家族に薦める可能性はどのくらいあるか」という問いに対する点数(推奨度)により、3つのグループに分類します。
・10〜9点 (推奨者)
ロイヤルティが高い熱心な顧客であり、自らが継続購入客であるだけでなく、他者へサービスを薦める役割も担う。
・8〜7点 (中立者)
満足はしているものの、それ程熱狂的ではなく、競合他社になびきやすい。
・6〜0点 (批判者)
劣悪な関係を強いられた不満客であり、放置しておくと悪評を広める恐れがある。
この調査評価による「推奨者の割合(%)ー批判者の割合(%)=NPS指数」なのです。
NPSはもともと「収益性と連動するロイヤリティ計測のための指数を探す」という発想から生まれており、従来採用されていた、その時の「顧客満足度」とは異なります。別の言い方をすると、従来までの「頭の満足」ではなく、「心の満足」がNPSである、という表現が分かりやすいかもしれません。
マクロミル社が考案した分析手法のNPSマップ。NPSが高まるにつれ、顧客は左下の低評価ゾーンから一般ゾーンへ、さらにロイヤルゾーンである推奨者へと進む。ブランドマーケティングを活かし、いかに右上の高ロイヤルゾーンへ進めるかが問われている
それでは、スポーツブランドのNPS評価について見てみましょう。
私が知っている、ザ・ノース・フェイス
日経ビジネスが消費者1万人を対象に、2021年12月NPS調査(マクロミルへ依頼)を行った薦めたいスポーツブランドで、ザ・ノース・フェイスが、堂々の1位を獲得しました。
NPSスコア
1位 ザ・ノース・フェイス 31.8%
2位 ナイキ 17.2%
3位 ニューバランス 17.2%
4位 アンダーアーマー 14.4%
5位 アディダス 12.2%
6位 アシックス 10.3%
7位 チャンピオン 6.7%
8位 ミズノ 6.3%
9位 リーボック 6.0%
10位プーマ -0.5%
ぶっちぎり、と言ってもよい数字(31.8%)で、多くの顧客が「他の方に薦めたいスポーツブランド」となったのです。
ちなみにSNSのフォロワー(ファン)数は、
Facebook 7.3万人
Instagram 9.1万人
YouTube 2.5万人
Twitter 6.4万人
※2022年2月調べ
と、情報発信量の多さもさることながら、ユーザーの心を掴むSNS戦略が成功しています。
私がザ・ノース・フェイスの商品を購入したのは、記憶を辿れば20数年前、大手スポーツ店で、定番の黄/黒色のマウンテンジャケットであり、初期の防水撥水素材であるゴアテックスを採用し、作りは質実剛健、山やスキーへと、あらゆるアウトドアアクティビティに活躍してくれました。
街中でも着用していましたが、当時のブランドイメージとしては、登山家が愛用する(植村直己さんや三浦雄一郎さん)エクスペディションな機能・装備なため、ややハードスペック気味で、街中には似合わないと感じていました。
ザ・ノース・フェイスが考えているNPSとの向き合い方
2005年頃からザ・ノース・フェイスは、徐々にコアからマスマーケティングへと舵を取り、私が好きなトレイルランナーやアドベンチャーチーム、さらに一般ユーザーへも認知拡大し、街中でもおしゃれに着こなせる商品群も揃えたのです。
アウトドアで実績を積んだ経験値が品質と機能性に反映され、多くのユーザーに浸透し、子供から年配者まであらゆる層に受け入れられたのです。
総合アウトドアメーカーとして、コアなアスリートや冒険家、写真家、芸術家など「ホンモノの人」によるソーシャルマーケティング活動も、NPS指数を押し上げた要因の一つです。
また、最近感心したのが、直営店での接客です。渋谷区神宮前6丁目(明治通り)には商品コンセプトが異なる4店が並び、まるで友人のように顧客へ寄り添い、エピソードを交えて説明する店員・スタッフの方々は、その近隣にあるアウトドア店と比べて、知識が深く、質の高さを感じました。
デジタルとリアルの世界で、ユーザーの感性・価値を捉えているのです。
NPSまとめ
ザ・ノース・フェイスの、ロイヤル顧客の一人と自負する私にとって、NPSを高めているのは、ブランドという安心感です。これまで購入した商品に不満を感じたことはない、と言えるほど、バリューが高く、パフォーマンスの優れたアイテムを提供してくれるのです。だから、どの商品を手に取ってもハズレがなく、安心して買い物ができるのです。
他の人に薦めたくなるモノ・コトとは何か、マーケティングには何が必要か、それを知るにはNPS調査は欠かせません。オノフには、ノウハウがあります。
お困りごとは、お気軽にご相談ください。