リッカート尺度とは?
アンケートを回答する時によくこのような回答選択肢を見たことがあると思います。
Q.あなたはこの商品についてどのくらい満足していますか。(1つだけ選択)
A.
1.非常に満足している
2.やや満足している
3.どちらともいえない
4.あまり満足していない
5.全く満足していない
よくある普通のアンケート構成ですが、これがリッカート尺度を使ったアンケートなのです。
上記のアンケート例のように、予め設定された評価段階に従って、ある特定の物事や事象を判断させる方法を「評定尺度法」といいます。そして、その評価段階のことを「リッカート尺度」というのです。
この分析方法はレンシス・リッカート氏(アメリカ合衆国の社会心理学者)によって初めて使用された方法で、彼の名前から「リッカート尺度」と名付けられました。
リッカート尺度はどんな時に使うのか
リッカート尺度は回答者の意見や認識、行動の程度を測定するための代表的な手段のひとつで、回答者にとって明確な事実を回答するものではない、白黒ハッキリ回答しづらい設問であったとしても、その程度や振れ幅を段階的に聴取することができるというメリットがあります。
段階的に聴取するため、アンケートの深い考察も可能になります。
リッカート尺度で得られたデータは、調査の性質に応じて、記述的にも分析的にも用いることができ、意見や評価、ユーザーの行動などを分析することに使用されます。
これらの情報を分析することによって、企業は顧客が自社のサービスや商品に何を求めているのか、何を維持すべきか、何を改善すればよいかといったことが把握できるようになります。
リッカート尺度を使うメリット
リッカート尺度を使うメリットは以下の通りです。
使用することや管理がしやすい
リッカート尺度は、アンケート設問の設計と実施が簡単であり、回答する方も直感で回答することができます。
シンプルな設問形式のため、顧客からのフィードバックを収集するための優れた方法となります。
傾向把握がしやすい
リッカート尺度は、時間の経過とともに一貫した結果を生み出し、リサーチにおいて顧客の回答の傾向を把握することに役立ちます。
そして、この情報を自社のサービスや商品に向けたビジネス上の意思決定に役立てることができるのです。
異なる顧客層を把握することができる
リッカート尺度を用いることで顧客ごとの信念や意見、行動などのフィードバックにおける様々な領域を測定、分析できます。
リッカート尺度を使えば、これらすべての分野を幅広く俯瞰することができ、マーケティングにおける顧客像の把握をすることができるのです。
リッカート尺度が用いられる調査例
リッカート尺度は、代表的なアンケート設計のひとつです。そのため、あらゆるリサーチで用いられています。以下がその一例となり、それぞれの設問で評価を取りたい項目を列挙し、それぞれに対して段階的な選択肢をマトリクス形式で回答してもらう形も多いです。
ブランド認知度調査
Q.以下のブランド毎にあなたがそのブランドをどの程度好きか教えて下さい。
企業イメージ調査
Q. 当社のイメージについて、以下の項目毎に当てはまるものを選んで下さい。
パッケージ評価
Q.パッケージデザインを確認し、以下のそれぞれあてはまるものをお答えください。
広告効果測定調査
Q.この広告を見てあなたはどのように感じましたか。
NPS調査(顧客推奨度調査)
Q.あなたはこの商品を、誰かに勧めたいと思いますか?
まとめ
このようにリッカート尺度は回答者にとってもなじみのあるアンケート形式のため、回答いやすく、調査項目を段階的に評価することできるメリットがあります。
一方でデメリットとしては、尺度の段階を分けすぎた場合やマトリクス形式の設問が多すぎると回答者の負担が増えてしまう点や、中立的な尺度は回答が集中しやすく、意図しない回答となる可能性もあります。
回答者への負担が増えてしまうと回答の途中離脱が起こってしまうことや、いい加減な回答が集まりやすくなってしまう懸念があります。回答者の立場に立ったアンケート設計を心がけて、回答負担の少ないアンケートを設計するようにして、リッカート尺度を有効に活用していきましょう。