ここ数年、「フェムテック」はかなりの盛り上がりを見せており、マーケティング関係者のみではなく、一般消費者までもこの言葉の認知率が高まっています。
なぜフェムテックが盛り上がりを見せているかについて、個人の見解を混じてご紹介します。
フェムテックが盛り上がる理由と背景
まず結論から言うと、下記4点が主な理由になるかと思います。
1,ビジネスチャンスがあるから
2,ジェンダー平等意識の向上
3,テクノロジーの進歩
4,政府の推進
「フェムテック」にビジネスチャンスがある
女性の消費性向が高い
マーケティング領域では、昔から、女性の方が男性よりも消費意欲が旺盛だと言われています。例えば、F1層(女性の20~34歳)は独身で自由に使えるお金をたくさん持つ消費意欲が旺盛なセグメントとして、昔から様々なビジネスにターゲットとされてきました。
これは、「消費性向」という統計概念からも伺えます。
所得のうちどれだけを消費にあてるかを示す割合ですが、例えば下記調査では、平均73.8%に対して、男性が65.8%、女性が88.8%、男女に明確な差が見られます。
要は、一般的に、男性と比べて女性のほうがより消費に積極的で、女性を対象にした商品・サービスが需要があると思われます。
働く女性の増加で女性の可処分所得が増加
これはイメージしやすいかと思います。働く女性が増えることで収入が得られ、家庭にまわす部分もありますが、女性自身の可処分所得の増加は確実です。
消費意欲が旺盛で、しかも手元に可処分所得が増えているターゲットを対象に、その困りごと、悩みを解決する商品サービスを提供できれば、ビジネスチャンスが大いにあるでしょう。
市場としての価値が可視化され、参入を急ぐ企業が増えているのが現状です。
フェムテックの市場規模は今後数年間でますます拡大し、2025年には世界全体で約5.3兆円の巨大市場にに達すると言われています。
「ビジネスチャンスがあるから」と言われると、「結局お金かよ」と感じるかもしれませんが、お金は社会を動かす原動力になることもあるため、ビジネスチャンスがあることで、フェムテックの原点である「女性の身体の悩みをテクノロジーで解決していく」が一気に加速できていると思います。
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フェムテックによるジェンダー平等意識の向上
女性の社会進出
少子高齢化により働き手として女性の社会進出も進む中で、女性経営者と女性技術者の台頭もあり、女性が生き生きと働ける環境づくりが不可欠になってきたことも背景にあると言えます。
女性人権意識の高まり
女性の人権意識の高まりを背景に、セクシュアルヘルスに関心を持つ女性が急増していることも、フェムテック市場が注目を浴びる理由の一つになっているでしょう。
SDGsにおける女性活躍のアジェンダや、2017年に巻き起こった「#MeToo」といった世界的ムーブメントなど、変化する社会における女性のニーズや立場を社会構造として取り組んでいく必要があると感じる人が増えており、それを解決しようと動き出している人も多いです。
女性が声をあげやすい社会へ
フェムテックは、これまでタブー視されてきた女性特有の内容が多いです。女性の社会進出と人権意識の高まりにより、女性が声をあげやすい社会になりました。
生理の話やセックスの話など、多くの人が悩みを抱えているにも関わらず、なんとなく他人には共有しづらかった女性特有の悩みや問題が、近年は少しずつ可視化されるようになりました。
テクノロジーの進歩がフェムテックの追い風に
テクノロジーの進歩により、生理や更年期など女性が抱えていた悩みをデータ化し、解決策を提供しやすくなったことも、フェムテックの追い風となっています。
女性の健康問題に限らず、Fintech(金融×テクノロジー)やHRtech(人事×テクノロジー)など、さまざまな社会課題を解決するテクノロジーが、より正確な情報から、より効率的で根本的な解決策を導き出してくれます。
人間の誰しもが気にする「健康」に光を当て、女性特有の悩みをデータ化してより適切な治療法を提案するフェムテックが注目されるのも納得でしょう。
フェムテックを政府が推進
経済産業省から補助金
今年(2021年)6月ごろ、経済産業省から、令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」活動を行い、フェムテック等を活用し、働く女性の健康課題等を解消するためのサポートサービスを提供する実証事業を行う事業者(間接補助事業者)に補助金を出すことを行っています。
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210628007/20210628007.html
20個の事業に補助金が出ることが決まりました。
https://www.pwc.com/jp/ja/news-room/femtech-public-offer210628.html
ご参考に5つピックアップしてみました。
「フェムテック振興議員連盟」
昨年(2020年)10月、自民党内に「フェムテック振興議員連盟」(会長:野田聖子会長=自民党幹事長代行)が発足しました。今年3月に提言をまとめ、政府に対し、フェムテック振興に向けた制度見直しや企業支援に取り組むよう求めていたとのことです。そうした動きの後押しもあって、政府が6月18日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2021」と「成長戦略フォローアップ」には、「フェムテックの推進」という文言が初めて盛り込まれました。
まとめ( フェムテックが盛り上がる理由と背景 )
ビジネスチャンスがあり、社会課題解決に繋がるやり甲斐もあり、さらに政府の支援もある、これで、フェムテックが盛り上がりを見せ、フェムテック関連スタートアップ企業が続出していることも納得できるかと思います。
今後もますます発展する分野だと思われますので、引き続き注目していきます。