今、注目される「Cコマース」とは
最近「Cコマース」(シーコマース)という言葉を耳にしました。「Eコマース」(イーコマース/EC)とは、Electronic Commerceの略で、電子商取引のことでインターネット上で物を売ったり買ったりすること、そして代金の決裁までをインターネット上で行うことを指します。
対して、「Cコマース」の「C」とは何を指してどんなものなのでしょうか。
今回は「Cコマース」について解説します。
「Cコマース」とは何か?
「Cコマース」とは、Conversational Commerce(カンバセーショナルコマース、会話型コマース)の略称です。
「会話型」と聞いて、なんとなくおわかりになった人もいると思いますが、消費者がメッセージングアプリで、人またはチャットボットとリアルタイムで会話をしながら、商品やサービスの購入を行うプロセスを「Cコマース」と言います。
広義にはECのみに限らず、例えば人材業界の求人紹介や病院における健康診断などの有人対応も「Cコマース」に含まれ、幅広い領域でのビジネス活用がされています。
チャットボットなどAIアシスタントによる対応を狭義の「Cコマース」と捉え、Eコマースの延長上、つまり、インターネット経由でのAIアシスタントとの会話のやり取りでの商品販売・購入を「Cコマース」とします。
一般的なCコマースは、次のように大きく二つのタイプに分かれます。
LINEやWhatsAppをはじめとするメッセージングアプリや、InstagramやTikTokなどのSNSを通じて、ブランド・メーカーと消費者がコミュニケーションを取って、商品やサービスの問い合わせや購買、予約、決済を行うタイプ。
もうひとつは、WebサイトやECサイトに埋め込まれたチャットボットによって、商品を閲覧中のお客さんが、リアルタイムでチャットをしながら質問に回答するタイプ。
このように「Cコマース」は、店舗で直接スタッフとやりとりをしている時のように、お客さんがECサイトを閲覧中にリアルタイムで知りたい情報を質問し、回答をもらって購買に至るという購買体験を向上できることがメリットとなります。
Cコマースの種類
「Cコマース」は複数種類があります。中にはこれを読んでいる方も実際に使って商品を購入しているものもあるのではないでしょうか。
ソーシャルコマース
SNS内で商品の購入が完結するものを指します。ユーザーは投稿者の投稿やプロフィールを閲覧して、AIアシスタントによるチャットでの提案、アドバイス、情報の提供を受けながら商品購買まで行うことができます。
ライブコマース
インスタライブなどライブ配信に参加した視聴者が、配信者が紹介する商品を見てそのまま購入することができます。
・CtoC
CtoCとは、フリマサイトなどのプラットフォーム内で消費者同士が取引を行う形態のことを指します。メルカリなどのフリマアプリが代表例です。出品者と購入希望者がチャットで質問や値段交渉のやりとりを行い、取引を進めることができます。
・Group Buy
Group Buyとは共同購入とも呼ばれ、ある製品に対して一定期間、注文する人を募集し、人数が多ければ多いほど価格が下がる販売キャンペーンを指します。過去の例でいうとグルーポンのようなものですね。
Cコマースを組み合わせることで、購入検討者同士がチャットで会話をしながら購入希望者を集めたり、コミュニケーションを行うことができます。
いずれも、Cコマースはやり取りを行う中でユーザーに信頼感が芽生え、取引を円滑に進める一助となるのです。
なぜ「Cコマース」が注目されているのか
自分のイメージにあったスタイリングをしている美容師をInstagramで検索して予約したり、LINEの公式アカウントで居酒屋に混雑状況の確認と予約を行う、などこのように普段から皆さんもSNSやメッセージアプリを使って商品・サービスを購入しているのではないでしょうか。
1995年、Windows 95の登場から2000年代にかけてインターネットが普及し、消費者はPCから検索サイトやポータルサイトの検索欄に検索キーワードを入力し、上位に表示された検索結果を頼りにWebサイトへ訪問して商品やサービスを購入していました。
それから2010年代に入るとスマートフォンが一気に普及したことで、スマートフォンアプリから簡単に購入ができるようになり、ショッピングアプリだけでなく、各ブランド、メーカーが自社独自のアプリを開発、リリースを行いました。
アプリでの購入体験は、住所などの個人情報を一度登録すると、2回目以降の買い物が楽になり、お気に入りや自分のサイズなど情報を保存し、検索や決済が容易であったり、とても利便性の高いものでした。しかし、アプリの案内をしてもなかなかダウンロードをしてもらえない、アプリをダウンロードしても、その後起動されなくなることが多いという課題もありました。iOSとAndroid向けのネイティブアプリを費用や時間をかけて開発しても、アプリのダウンロードや利用がされなければ意味がないのです。
そんな中、LINEやInstagramなどのメッセージアプリ、SNSアプリはユーザーの生活インフラの一部として日々利用されているため、多くの人が利用する必要不可欠なコミュニケーションツールになっています。
このような背景があり、2020年以降は、LINEやInstagramなどのコミュニケーションアプリに購買や決済機能が持たされ、それを利用するブランド、メーカーが増加しました。
消費者が日常的に利用するコミュニケーションアプリから接触を図り、購買行動を促す方向に進んでいるのです。
消費者側も、身近なSNSやメッセージングアプリから商品・サービスの詳細や質問など、オフラインの店舗で店員に聞く感覚でスタッフのサポートを求めることができるため、利便性もありますし、オンラインでオフラインと同じような体験ができるため、顧客満足度も向上し、購入率を高めることができるのです。
Eコマースによるネットショッピングの利便性や機能性が高まり、消費者にもパーソナライズされた体験が提供されてきました。今後はもっとも身近なコミュニケーションツールで顧客接点を持ち、チャットやメッセージによるやり取りから顧客理解が進み、さらにパーソナライズされた商品やサービスの案内がされることで、顧客との信頼関係を深めることが大切です。
LINEなどを活用した消費者との「会話」によるコミュニケーション「Cコマース」は今後普及していき、さらに注目度が増すのではないでしょうか。