皆さんこんにちは。ライターの磯目です。
2021年プロ野球シーズンも残りあと僅か。セ・パどちらも熾烈なリーグ優勝争いが繰り広げられている中、やはり最も注目すべきは25年ぶりのリーグ優勝を目指すオリックス・バファローズでしょう。ファンの誰しもが夢見た歓喜の瞬間が訪れることを願っています!
そんなオリックス・バファローズですが、ここ数年、主に球団ファンサイトを中心としてファンへのマーケティングがものすごい勢いで進んでいるのです。
前回は「横浜DeNAベイスターズから学ぶ、リアルとデジタルの融合から生まれるCXM」と題し、球場内外いつでもファンを満足させる横浜DeNAベイスターズの取り組みを紹介しましたが、今回はオリックス・バファローズがどんな取り組みでファンを取り込んでいるかまとめてみました。
ファン一人ひとりに寄り添ったOne to Oneマーケティング
顧客の分析から寄り添った情報発信
オリックス・バファローズが運営する球団ファンクラブサイト「BsCLUB」は、チケットの先行購入、メルマガ、ポイントの交換など他球団にあるようなファンクラブの仕組みに加えて球団ならではのマーケティング的仕組みを取り込んでいます。
UI(ユーザーインタフェース)としては会員同士で交流できるほか、選手をフォローして新着情報を受け取ったりコメントができるような仕組みを採用しています。
このように気軽にアクセスしファン同士での情報交換が盛んに行われている言わば、オリックス・バファローズ専用のSNSです。
※オリックス・バファローズ公式HPより写真抜粋
ユーザーからすれば非常に便利で楽しいサイトである一方、運営側ではより細かなマーケティング施策への活用として、日々分析が行われているのです。
1つは、運営側が他の企業と連携し、コミュニティー管理ツールを使ってユーザーの興味・関心を可視化できること。会員登録時に入力したユーザーデータのほか、BsCLUB上での投稿履歴、グッズ購入履歴、来場履歴などを把握し、どの選手にファンが多いかや、どのイベントを実施した際にグッズの売れ行きが伸びたかなどをグラフ化し、ファン向け施策の企画などに役立てているのです。
さらに特別なのが、上記のように得られた会員の興味関心情報に基づき、ファン1人ひとりに合わせた情報発信も行っています。
例えば商品の購入・球場への来店履歴に基づき、グッズやキャンペーンの情報を発信。自身の投稿履歴や好みの選手に纏わる情報の提供もしている。
また、コアなファンであれば例えば選手の活躍を表す指標(セイバーメトリクス)のような非常にニッチな情報を提供することで、よりファン一人ひとりに寄り添い、楽しめるコンテンツを提供しているのです。
このように球団のファンクラブとしては異例の、会員1人ひとりを細かく分析してその人のためだけの情報提供を行っている、言わばCXM(顧客体験価値)設計の最先端を行くファンクラブサイトです。
今後の戦略について
ファンに向けた様々なデジタルマーケティングが行われている中で、次に期待するのはやはりリアルでの取り組みでしょう。ホーム球場である京セラドームでは2021年オフシーズンに大型のビジョンが設置予定など、他球場と比べても広い京セラドームでより野球を楽しみやすい取り組みが予定されています。
そんな中、今後に最も期待する部分は球場全体のボールパーク化でしょう。2025年には大阪万博も開催される中で、試合があるとき、無いときどちらでも球場に足を運べば野球に触れあることができる空間が期待されます。オリックスグループのサービス全体との連携も考えられるでしょう。
リーグ優勝を待ち望むとともに、球団のさらなるファンマーケティングの取り組みに今後も注目していきたいと思います。