カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスと、どのような関わりを持ち、どのような考えや感情を抱くかを理解するために、顧客が商品やサービスを購入するまでの一連の流れを、ジャーニーマップを用いて可視化する手法です。
ペルソナを設定し、顧客の視点や顧客体験を分析することは、顧客の行動や思考、感情を理解するために、一番効果的な手法だと言えます。
今回は、このカスタマージャーニーが、もう古いと言われている理由について考えてゆきたいと思います。
カスタマージャーニーは、本当に時代遅れなのか?
カスタマージャーニーは、マーケティングに携わっている方にとっては、必須の分析手法だと言えますが、なぜ時代遅れだと言われているのでしょうか?
それは、消費者が予測したカスタマージャーニーを無視して行動することが増えてきているからです。
ここ最近の消費者の行動は、ネットショップの利用が一般化して、スマートフォンで常にインターネットにつながっていることで変化しています。
いつでも場所を選ばず、手軽にインターネットショッピングを利用できるようになったのです。
隙間時間に、スマートフォンを見ながら、気軽に商品を購入しています。以前に比べて、認知していない(名前などを知らない)商品を購入することにも躊躇しなくなってきています。
つまり、カスタマージャーニーの流れに沿って、消費者が商品を認知することから始まり、じっくり比較検討した上で購入するという流れとは、まったく異なる消費行動を取っていることがあるのです。
こうした消費行動があるため、カスタマージャーニーによって顧客の行動をあらかじめ定義できるという考え方が古い考え方だと言われているのです。
もちろん、カスタマージャーニーがまったく機能しないというわけではなく、適応できない動きがあることが問題なのです。
インターネットショッピングやスマートフォンが普及したことで、消費者は購入の意思決定をこれまで以上に早いスピードで衝動的に行っています。
この変化しつつある消費行動を理解しておく必要があるのです。
パルス型消費とカスタマージャーニー
パルス型消費とは、2019年にグーグルが提唱した新しい消費行動の概念です。消費者が明確な理由がないにもかかわらず、瞬間的に買いたい気持ちになり、そのまま購入に至る消費行動をいいます。
このパルス型消費は、消費者が商品を認知してから情報を調べた上で比較検討して購入するという従来の流れとは異なる消費行動です。
インターネットショッピングやスマートフォンの普及によって手軽に商品を購入できるようになったことにより、消費行動はカスタマージャーニー型からパルス型消費へと変化しているとも言えます。
シナリオ設計をプロに依頼する
従来型のカスタマージャーニーに対する考え方を変える
瞬間的に変化する消費者の購買に至る行動は、予測できないように感じるかもしれませんが、カスタマージャーニーを活用することで、顧客の行動を予測することは可能です。
CRMやMAツールなどに、シナリオを登録することを目的とした、カスタマージャーニーの活用の流れを整理してみます。
まず初めに、リアルな部分とデジタルな部分に分けて、顧客とのタッチポイント(顧客との接点)を漏れなく洗い出してしてゆきます。
次に、タッチポイントごとに、どのようなメッセージやオファーを出すのかを、それぞれのタイミング毎に、コンテンツ内容を検討してゆきます。
この作業は、とても労力が掛かる部分ですが、まさに顧客対応のレシピになる部分なので、時間をかけて、じっくりと練りあげてゆく必要があります。
こうして作り上げたジャーニーマップは、綺麗なシナリオに整理され、事前に検討したシナリオの中で、顧客対応する仕組みがまとめられているはずです。
問題は、このカスタマージャーニー上で予測されたシナリオから、顧客が違う動きをした時に、シナリオが機能しなくなってしまうことです。
その時、重要になるのが、顧客の属性や行動履歴などのデータを基に、顧客一人ひとりにあわせてパターンを分析して、シナリオ上で、次にどこに向かっているのかを予測して、次のシナリオに結びつけ直すことです。
顧客ごとに、完璧に好みや購買パターンを予測することは難しいですが、レコーディングしたデータを元に、シナリオをリアルタイムに適用してゆくことが求められています。
顧客はいつも一貫性がある訳ではなく、常に衝動的な動きをすることを前提する必要があります。心の動きに合わせて施策を改善していくことで、顧客ごとに異なる感性に寄り添うコミュニケーションを実現することができるのです。