「CRM施策を考えて」といわれたら、まずは何からすべき?
はじめに
ここ最近「CRM」という言葉を目にしたり耳にしたりしない日はない、といっても過言ではないくらい今や仕事と切っても切り離せない重要なものとなっています。そんなに当たり前な言葉となってきた「CRM」漠然と知っている人やざっと本で読んだけど、という方に、もし上司から突然「いまのままではだめだ!CRM施策を考えて!」などと言われたときに慌てないように、まず何に着手すべきかをお知らせします。
まずはデータ収集と分析!現状を知って仮説をつくる。
※今回は売上向上や顧客満足度の向上また、リピーターの増加などの目的が既にあるケースを前提としています。
CRM施策を考える際にはまずはシナリオ作りが重要。どのような流れでゴールに向かうか、成功の為にどういった進行を辿るか、ここでいうところのシナリオは後のプロジェクトの進行フローとなる。まずは敵を知り、自分を知り、現状を知ることで何が課題で、何が必要で、強みはどこなのかなどの棚卸をしてから、組み立てていくことが大切。その際に有効になってくるのがデータ収集と分析。すでに会社でいろんなデータが存在している場合は、必要なデータの確認・社内データ収集から、データがない人は、何からデータ収集出来るかの確認からはじめてみよう!実は活用していなかった身近なデータがあるかもしれないし、自分でも出来る事が見つかるはず。
主なデータ収集方法
・オンラインアンケート
サイトやアプリなどでアンケートを実施し、顧客の意見や傾向を収集。
・購買データ
POSシステムやオンラインストアのデータを活用
・ウェブトラッキング
サイトやアプリのトラッキングツールを使用して顧客の行動パターンやアクティビティを収集し情報を取得(Googleアナリティクスなどの活用が主流)
・SNSモニタリング
SNS上での顧客の投稿やコメントをモニタリングし、意見や傾向を把握、ソーシャルメディアモニタリングツールなどを活用
・カスタマーサービスの記録
顧客とのコンタクトや問い合わせの履歴を記録し、顧客の要望や傾向を把握。顧客サポートシステムや、チャットツールなどを利用
・メールやニュースレターのデータ
顧客が提供したメールアドレスやニュースレターの登録情報を活用して顧客の興味や関心に関するデータを収集
これらの方法を組み合わせることで、顧客に関するデータを収集し、分析することができます。ただし、データの収集には倫理的な配慮が必要であり、適切なプライバシーポリシーと規制の遵守も重要です。
でも自分たちでやるには限界がある、そんなときにはまずはプロに相談!たくさんの手法から相談にマッチしたデータ収集の提案を行ってもらえます。
データが収集出来たら次は分析。分析方法はたくさんあるけど、まずは基本の3C分析で行ってみよう。
★3C分析とは
ビジネスやマーケティングにおいて使用される戦略的な分析手法の一つです。3Cは、顧客(Customers)、企業(Company)、競合他社(Competitors)の3つの要素を指します。
3C分析を実施することで、市場環境や競争状況を詳細に理解し、戦略的な意思決定やマーケティング戦略の策定に役立てることができます。
―顧客分析(Customer)
顧客のニーズや要求、購買行動などを分析します。これにより、市場の需要やターゲット顧客層を明確に。
―競合分析(Competitor)
競合他社の戦略、製品やサービスの特徴、市場シェアなどを分析します。これにより、競合状況や市場のトレンドを把握し、自社の競争優位性を見極める。
―自社分析(Company)
競合他社の戦略、製品やサービスの特徴、市場シェアなどを分析します。これにより、競合状況や市場のトレンドを把握し、自社の競争優位性を見極める。
3C分析を行う事で市場環境や競争状況を詳細に理解し、戦略的な意思決定やマーケティング戦略の策定、また何が不足しているのか、何が必要なのか、何をすべきなのかを可視化。
仮説なくしてCRMの成功なし
ー仮説の作成
上記までの分析を行ったら、今後の具体的なCRMの策定の元になる仮説を立てる。
ここまでくれば、あとはCRM策定の具現化に向かって走るのみ!
仮説は状況によって千差万別となるが具体例としては下記のような仮説があげられる。
仮設例:
顧客セグメンテーション仮設:
仮設: 「顧客を購買履歴や行動パターンに基づいてセグメント化し、各セグメントに対してターゲティングされたマーケティングキャンペーンを展開することで、購買率を向上させることができる。」
カスタマーサポート改善仮設:
仮設: 「カスタマーサポートにおいて、問い合わせ履歴やチャットログを活用し、より迅速かつ個別化された対応を行うことで、顧客満足度を向上させることができる。」
クロスセル・アップセル仮設:
仮設: 「購買履歴や商品推薦エンジンを活用し、既存顧客に対して関連商品やアップグレードオプションを提案することで、顧客の購買金額や購買頻度を増加させることができる。」
リード管理改善仮設:
仮設: 「リードの取得からフォローアップまでのプロセスを追跡し、リードの優先順位付けやタイムリーなフォローアップを行うことで、営業の成約率と速度を向上させることができる。」
顧客フィードバック活用仮設:
仮設: 「顧客からのフィードバックを収集し、定期的な顧客満足度調査や改善案の提案を行うことで、顧客ロイヤルティを高め、長期的な顧客関係の構築に貢献することができる。」
これらの仮説は分析によって出た特定の目標や課題に対してたてるものであり、これがCRM戦略の元となります。
※キャッチコピーはCRM戦略の「ノウハウ・ドゥハウ」より引用
そもそもCRMとは
ここで今一度CRMってなんなのかのスタートに立ち返りたい。
―基本概念
そもそもCRMとは「Customer Relationship Management」の略で日本語に直訳すると「顧客関係管理」となり、簡単にいうと、顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させるための戦略と総称。
★CRM概念形成は1990年台にアメリカで誕生した。
アメリカでは1995年に大きな転換期を迎え、この時代の前後でBI・AIの起点となっている。「BI」とは「ビフォア・インターネット」、「AI」とは「アフターインターネット」、95年はアメリカでインターネットが爆発的にブレイクした年、それまでの単なる検索やウェブサーフィンではなく、個人の購買やビジネスの商取引に本格的に使用されはじめたシンボリックな年となる。この時の時代背景も重なり、資本主義から顧客主義になり、この顧客主義をITツールで達成させようとしたものがCRMの誕生の背景にある。
参考文献:※CRM戦略のノウハウ・ドゥハウ
※図で見るCRMの進化の仕方
CRM施策の主な流れ
ここまでCRM施策の入り口を書いてきましたがゴールまでの全体像はこちら
- CRM環境分析
- ビジョン構築
- 戦略策定
- 各チャネルの設定
- システムの具現化
- CRM情報活用
- CRMナレッジマネジメントによるサイクル化
※一つ一つがとても深い為詳細は省略
それぞれの段階において、まだまだこれからが深く長い道のりだが、すべての段階において一貫した大コンセプトとなるため、とにかく仮説までは最重要。まずは分析・仮説策定にポイントを置くことが必須。
結論
今回はCRMの導入についてご案内しましたが、プロジェクトを立ち上げる際はまずは仮説が重要!プランナーやコンサルはもとより、営業、プロジェクトマネージャー、ディレクター、プロデューサーなど、様々な方々が関与しているかと思いますが、CRMだけではなく、何か改善をしたいという際は他のプロジェクトでもこの手法を試してみることをおすすめします。