クロス集計とは?~エクセルでのやり方やメリット・デメリット等についてマーケティング観点も踏まえて簡単に分かりやすく解説~
こんにちは。デジタルマーケティングカンパニー・オノフのすぎやまです。
クロス集計はデータ分析において強力なツールとして広く利用されています。マーケティング担当者にとって、クロス集計の種類やそのメリット・デメリットを理解することは、効果的な戦略策定に不可欠です。
クロス集計の特徴としては、異なるカテゴリー間の関係性を視覚化する方法ということです。特に、消費者の行動や意識を理解するコンテキストにおいて、クロス集計は重要な役割を果たします。例えば、商品満足度を性別や年齢層ごとに分析することで、ターゲット市場における具体的なニーズや嗜好を捉えることができます。
マーケティング担当者やデータ分析に関心のあるビジネスパーソンにとって、クロス集計は非常に有用な手法です。適切に活用すれば、より効果的でターゲットに合わせた戦略を展開することが可能です。そのため下記にてクロス集計についてわかりやすくご紹介していきます。
クロス集計は、単にデータを集めるだけでなく、その背後にあるストーリーを掘り下げる手段としても重要であり、実際のマーケティング活動において非常に役立つ分析方法です。
今回は「クロス集計とは何か」を分かりやすく解説します!
クロス集計とは?
クロス集計とは、2つ以上の質問項目の回答内容をかけ合わせ、回答者属性ごとの反応の違いを見るようなときに用いたり、回答データを細分化して把握できる集計方法のことを指します。
まず押さえておきたいこととして、1行に1回答者の回答結果が記載されるローデータを見るだけだと全体の結果を俯瞰することは困難です。そのため、「集計」を用いて回答者全体を理解することが大切です。
よく用いられている使い方は、アンケート結果の「男性」「女性」の性別を縦軸、「はい」「いいえ」を横に置いた2×2のクロス集計表です。このように、クロス集計を活用することで、特定のグループにおける傾向やニーズを明確に把握できるため、マーケティング戦略の立案に役立ちます。また、異なる属性がどのように回答しているのかを比較することで、ターゲット市場の特性を深く理解する手助けとなります。例えば、性別や年代別に満足度や購入意向が異なる場合、そのデータを基にした施策を展開することで、より効果的なアプローチが可能になります。
効果的な活用方法
クロス集計で得られるデータをグラフで可視化する方法は、マーケティング担当者やデータ分析に関心のあるビジネスパーソンにとって非常に有益です。
例えば、顧客の年齢層と購入頻度の関係をクロス集計し、その結果を棒グラフや円グラフで表示することで、特定の年齢層が特定の商品をよく購入していることが直感的に理解できます。
グラフを使用すると、複雑な数値データが視覚的に明確になり、異なる要素間の比較も容易になります。これによってデータから迅速に洞察を得て、意思決定を迅速に行う助けとなります。例えば、マーケティングキャンペーンの効果を分析する際に、クロス集計とグラフを併用することで、異なるマーケティングチャネル(広告、SNS、メールマーケティングなど)の成果を視覚的に比較できます。それにより、どのチャネルが最も効果的かをすぐに把握できます。
また、クロス集計は日常的に私たちの周りでも使われており、例えば、ニュースやメディアで見かける調査結果には、男女別や年代別に分けられたクロス集計データがよく掲載されています。このような実生活のデータを基にした分析が試みられることで、企業は消費者の特性や嗜好を深く理解し、顧客ニーズにマッチした商品展開やサービス提供に役立てています。
ExcelやGoogle Sheetsを使用すると、クロス集計表を簡単に作成し、グラフ化することができます。これらのツールは使いやすく、視覚的なデータ分析を強力にサポートします。エクセルでは「ピボットテーブル」でクロス集計表の作成も可能となります。またクロス集計は帯グラフで見せることが多いといわれています。データをグラフ化することで、分析結果を関係者にわかりやすく伝えることができ、効果的なコミュニケーションツールとしても機能します。
作成手順
Excelの「ピポットテーブル」でクロス集計が可能というお話を前述しましたが、ピポットテーブルでの作成手順をまとめました。
①Excelの集計したいリスト内のセルをアクティブにした状態で「挿入」タブをクリック
②表の中にある任意のセルをクリック
③表または範囲の選択の「テーブル/範囲(T):シート名」となっていることを確認
④ピポットテーブルの表を配置したいシートを選択→「新規ワークシート」or「既存ワークシート」
⑤OKボタンをクリック
以上でピポットテーブルが作成されたので、あとはピポットテーブルのフィールドからリスト項目のエリアに視覚化させたい情報をドラック&ドロップすることで表を完成させることができます。
またスプレッドシートのピボットテーブル機能を使えば、ほぼ自動的にクロス集計表を作成でき、スプレッドシートには検定をする機能が備わっているため、簡単に計算をさせることができます。
ピポットテーブル以外にもRやSPSSといった統計用ソフトでもクロス集計が可能です。これらのツールを活用することで、より高度な分析や複雑なデータの可視化が実現でき、マーケティング戦略の立案に役立つデータを短時間で取得できます。特に、Rは豊富なパッケージを持っており、細かなデータ分析が可能です。一方、SPSSはユーザーフレンドリーなインターフェースを提供しており、統計解析に不安のある方でも比較的簡単に使用できます。これにより、企業はデータに基づいた意思決定を行いやすくなります。
下記はExcelで作成したピポットテーブルとなります。
列:月(年月日)
行:購入品
値:合計/金額
上記のように各項目にドラック&ドロップをして入れ込むとクロス集計の表が完成となります!
クロス集計方法の種類と設問例
クロス集計は、集計したデータを細分化して把握できるため、あらゆる統計的調査で使用されますが、よく使われる分析手法の、「属性クロス集計」と「設問間クロス集計」、「多重クロス集計」という集計方法があるので、詳しくご紹介します。
「属性クロス集計」は、回答者の性別や年齢、居住地などの属性情報をもとに集計を行い、特定のグループの特徴や傾向を明らかにします。これにより、マーケティング施策を特定のターゲットに向けて最適化することが可能になります。
「設問間クロス集計」は、異なる設問の応答データを組み合わせて分析します。例えば、ある商品の満足度と購入頻度を照合することで、商品に対するユーザーの意識や行動パターンを把握することができます。
さらに、「多重クロス集計」は、3つ以上の設問を組み合わせて分析を行う手法です。複数の視点からデータを分析することで、より詳細な洞察を導き出し、複雑な消費者行動を理解するための強力なツールとなります。このように、様々なクロス集計手法を用いることで、企業は消費者のニーズや市場トレンドを的確に把握し、戦略的な意思決定を行うことができます。
①属性クロス集計
属性クロス集計は、回答者の属性ごとに回答の傾向を比較する方法です。「女性はどういう傾向にあるのか?」「役職によりどんな違いがあるのか?」といった違いを見たい場合に使われます。【回答者属性の例】・年齢・性別・職業・居住地・未婚/既婚・家族構成。これにより、特定の市場セグメントを理解し、よりターゲットを絞ったマーケティング戦略を策定することが可能になります。例えば、若年層と高年層で商品に対する関心の差を視覚化することで、広告戦略や商品開発においてどの層を優先すべきかを明確にすることができます。また、属性クロス集計を用いることで、デモグラフィック情報に基づいた消費者の行動パターンを分析し、より効果的なプロモーション活動を展開することが期待できます。さらに、属性間の違いを把握することで、企業は特定のニーズを持つ顧客層に対するアプローチを最適化し、継続的な顧客関係を築くための戦略を強化できます。
②設問間クロス集計
設問間クロス集計は、属性以外の2つ以上の質問項目をかけ合わせて比較する分析方法です。 「このように考えている人は、どういう傾向にあるのか?」「ある習慣がある人にはどのような違いがあるのか?」といったやや複雑な問いを調査したいときに使われます。 属性クロス集計よりも調査設計が込み入ったものになりやすい傾向にあります。
設問間クロス集計では、異なる視点から得られた回答を組み合わせることで、消費者の行動や意識に対する深い洞察をもたらします。この手法を活用することで、たとえば商品の購入意向を評価する際に、年齢層や性別別の満足度を交差させて分析し、ターゲット市場の特性を明らかにすることが可能です。さらには、設問同士の関係性を把握することで、新しいマーケティング戦略を立案する際に役立てることができます。このように、設問間クロス集計は、豊富なデータから有意義な情報を引き出す力強いツールとなります。
【設問のかけ合わせの例】 ・運動に対しての評価(好き/普通/嫌い)と運動する頻度 ・サービスの使用頻度と満足度 ・SNS利用率と商品の知名度 ・音声メディアの利用頻度と通勤の所要時間
③多重クロス集計
多重クロス集計を行うことで、より詳細なデータ分析が可能になり、消費者行動の複雑さを深く理解する手助けとなります。特に、異なる属性を組み合わせることで、特定のマーケットセグメントにおける独自のニーズや嗜好を把握することができます。たとえば、年代、性別、サービスの満足度を組み合わせて分析することで、どの年齢層の男性または女性が特定のサービスに対して満足しているのかを明らかにでき、ターゲットマーケティングの戦略をより効果的に策定することができます。また、多重クロス集計はキャンペーンの効果測定にも役立ち、複数の要因がどのように消費者の行動に影響を与えるのかを分析することによって、今後の改善点を見つけることができるのです。このように、マーケティング戦略の最適化に非常に有用な手法です。
クロス集計表の見方について
クロス集計表は、複数の設問に対する回答を整理し、異なる視点からデータを比較できます。このセクションでは、クロス集計表の基本的な構造や見方について解説します。表頭と表側にはそれぞれ異なる設問の項目が配置されており、各行や列に示された数値が集計結果を表しています。特に、度数や割合を確認することで、どの選択肢が多く選ばれたのかを視覚的に把握できます。クロス集計表を正しく理解することは、データ分析の第一歩となります。
単純集計とクロス集計の違い
次に「単純集計とクロス集計の違い」についてご説明します。
単純集計は、1つの質問項目に対して「どのような回答をした人がどのくらいいるのか」を視覚的に分かるようにする集計のことを指します。
クロス集計は、単純集計で得た数値に対して、性別・年代など、複数の項目を掛け合わせてその違いを読み取ることができる集計のことを指します。そのため、単純集計がベースにあってのクロス集計となります。
ここから、単純集計とクロス集計の大きな違いとして、「分析に使うデータ項目の数」であることが言えます。
単純集計では主に一つの質問に集中して結果を示しますが、クロス集計では複数の属性や設問を同時に分析することが可能です。これにより、たとえば「特定の年代の男性が特定の製品に対してどのくらいの満足度を持っているか」といった詳細な情報を抽出できるメリットがあります。クロス集計を使用することで、データの背景にある傾向や関係性を明らかにし、より具体的な戦略立案や意思決定に役立てることができるのです。したがって、マーケティングやリサーチの場面では、クロス集計が知見を深めるための重要なツールとされています。
クロス集計のメリット・デメリットとは?
クロス集計は、マーケティングデータの分析において重要なツールです。そのメリットとして、多次元的なデータを視覚的に把握できるため、データの相関関係や傾向を容易に理解できます。特に、性別や年代別、購入頻度などの分析軸を設定することで、特定のグループにおける消費者の行動を深く洞察することが可能です。しかし、クロス集計にはいくつかのデメリットもあります。例えば、集計項目が増えると膨大なデータ量となり、分析が複雑化します。また、元データの品質や正確性が低い場合には、誤った結論を導きかねません。そのため、クロス集計を効果的に活用するためには、データの前処理や適切な集計項目の選定が不可欠です。加えて、クロス集計を行う際には、どの設問を分析軸にするかを事前に考慮し、十分なサンプルサイズを確保することが重要です。これにより、統計的な有意性を持った結果を得ることができ、より信頼性の高い分析が実現します。
メリット
メリットとしては下記の4つとなります。
- 性別・年代・購入頻度といった分析軸の項目ごとに回答の傾向を知ることができる
このことにより、ターゲット市場の特性をより正確に把握し、戦略を的確に策定できます。 - データの関連性が把握しやすくなる
異なる設問間の関係性を視覚化することで、消費者の行動パターンを深く理解でき、市場のニーズに応える商品プランや施策の改善が促進されます。 - 表計算ソフトで簡単に作成することができる
Excelなどのツールを使うことで、ユーザーは特別なプログラミングスキルなしに迅速にクロス集計を行うことができ、データ分析の敷居が低くなります。 - 少ない集計回数でさまざまな視点が持てる
クロス集計を利用することで、多数の質問を一度の集計で分析できるため、効率的にデータの洞察を得やすくなります。これにより、時間やリソースの節約が可能となります。
下記で更に詳しく解説します。
性別・年代・購入頻度といった分析軸の項目ごとに回答の傾向を知ることができる
クロス集計を活用することで、性別や年代、購入頻度といった分析軸ごとの回答傾向を明確に把握することができます。これにより、ターゲット市場ごとの特性やニーズを理解し、マーケティング施策の最適化が可能になります。データを多角的に分析することができるため、効果的な意思決定に繋げることが期待されます。
データの関連性が把握しやすくなる
データ分析において、クロス集計を使うことによって、複数の変数間の関連性が明確に示されます。これにより、特定の属性や行動に基づいた洞察を得ることができ、マーケティング戦略の最適化に役立てることが可能です。データの相関を視覚的に把握することで、より効果的な意思決定が促進されます。
表計算ソフトで簡単に作成することができる
クロス集計は、表計算ソフトを使用することで、誰でも手軽に作成が可能です。この機能を活用することで、データの整理や分析が大幅に効率化され、マーケティング戦略の立案に役立つ貴重なインサイトを得ることができます。特にExcelのような普及したツールを使えば、膨大な情報を迅速に処理することができ、効果的な意思決定をサポートします。
少ない集計回数でさまざまな視点が持てる
クロス集計を活用すれば、少ない集計回数で多様な視点からデータを分析することが可能です。この手法によって、複数の質問項目を同時に検討でき、より深い洞察を得られます。マーケティング戦略の立案やターゲット層の特性を理解する上で非常に有効です。
デメリット
クロス集計にはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。特に、情報量が多くなるため、結果の読み取りに時間がかかり、解釈が難しくなることがあります。また、膨大なデータの分析には高いコストがかかる場合がありますので、注意が必要です。さらに、カテゴリーごとのサンプル数が一定数必要であり、数が少ないと統計的な有意性が低くなる点も考慮すべき重要な要素です。
単純集計に比べて情報量が多い分、多重クロスすることで、逆に結果の読み取りに時間がかかったり、解釈が難しくなる
クロス集計では、情報量が多くなるため、多重クロス集計を行うと、逆に結果の読み取りに時間がかかることがあります。このため、データの解釈が難しくなる場合があります。分析を行う際には、明確な目的を持って設計し、焦点を絞った集計を行うことが重要です。
膨大なデータは分析コストが高い
膨大なデータを扱う際には、分析にかかるコストが高くなることがあります。特に、多くの変数や観点からデータを分析する場合、必要なリソースや時間が増加し、企業にとっては負担となります。そのため、効率的にデータを処理し、コストを抑える方法を考慮することが重要です。
カテゴリーごとのサンプル数が一定数必要(数が少ないと統計的な有意性が低くなってしまう)
クロス集計を行う際には、カテゴリーごとのサンプル数が一定の規模を持っていることが重要です。サンプル数が少ない場合、統計的な有意性が低くなり、結果が信頼できないものとなる可能性があります。従って、適切なサンプルサイズを確保することで、より確かなデータ分析と正確な洞察が得られます。
クロス集計を行うにあたっての注意点
次にクロス集計の注意点をお伝えします。クロス集計を行う際には、データの正確性と信頼性を確保するために、アンケートの設計段階でクロス集計を想定することが重要です。また、回答者数が分析を行うに足る十分なサンプルサイズを持っているかを確認し、各項目別にサンプルサイズの確保に注力する必要があります。さらに、分析の軸を必要以上に多くしないようにすることも大切です。多くの軸を持つと、結果が複雑になりますので、シンプルかつ焦点を絞った分析を心掛けることで、必要な洞察を効率的に得ることが可能です。これらの注意点を遵守することで、クロス集計の精度を高め、より有意義なデータ分析が実現できます。
アンケート設計の段階でクロス集計を想定する
そもそも適切な設問が存在していなければ意味のある分析をすることができないので、調査の設計段階から「何を知りたいのか」という目的・課題を明確にしておく必要があります。そのため、「どのような集計軸を組んだら分析が可能か」という点を考え、加えてクロス集計が終わった後も、より深堀した統計分析を行いやすいような調査設計にすることも忘れずに取り組みましょう。さらに、データの信頼性を高めるためには、十分なサンプルサイズを確保し、分析の際に必要以上の複雑さを避ける工夫が求められます。しっかりとした設計のもとで行われた調査は、結果として得られる洞察の質を向上させ、実用的な意思決定に繋がるのです。
クロス集計後の項目毎のサンプルサイズに注意する
一般的に定量調査は、1つの属性につき最低30のサンプルサイズがなければ信頼性に欠けると言われていることもあり、30未満に満たない項目にならないために、前述した「どのような集計軸を組んだら分析が可能か」を決定した後「アンケート回答者数はどのくらい必要なのか」ということを前もって計算しておくことが必要です。また、データ分析においては、各属性の詳細な見極めが重要であり、サンプルサイズが十分であることがデータの信頼性を高める要因となります。この段階で摸索した集計軸が、後の分析作業でどれだけ生かされるかを考慮し、効果的なデータ収集とサンプル設計を行うことが、成功する調査の鍵となります。
分析軸を必要以上に多くしない
設問によっては、クロス集計を行ったが故にデータが分かりづらくなる場合があります。 クロス集計は単純集計がベースにあることを上記でご紹介しましたが、まずは単純集計で全体像を把握した上で、クロス集計で詳細を分析するという流れが重要です。 過度なクロス分析は結果の信頼性を欠く可能性にも繋がります。「とりあえずデータを細分化したら何か分かるかもしれない」という安易な考えでクロス集計を行うのは非常に危険ですので、注意しましょう!
さらに、効果的な分析を行うためには、データの収集段階からどの分析軸を用いるかを明確にしておくことが推奨されます。これにより、必要な情報を整理し、サンプルサイズも確保することができます。また、事前に集計したい内容を把握し、適切な設問を設計することで、後からの分析がスムーズになります。データの解釈を正確に行うためには、適切な集計軸を選ぶことが重要であり、これを怠ると混乱を招く結果となることがあります。クロス集計の活用は、きちんとした計画に基づくものでなければ、その効果を最大限に引き出すことは難しいです。
クロス集計表の見方について
クロス集計表はデータ分析において非常に価値のあるリサーチ方法です。特にマーケティング担当者やデータ分析に関心のあるビジネスパーソンにとって、クロス集計表の見方を理解することは欠かせません。クロス集計表を使用することで、異なるデータセット間の関係やパターンを明確に捉えることができます。さらに、クロス集計は、顧客のニーズや傾向を把握するための強力な手段であり、市場動向の把握に役立ちます。このように、効果的なデータ分析を行うためには、統計的な知識を持った上で、クロス集計表を正しく活用することが重要です。また、特定の属性間での比較が可能なため、ターゲット市場をセグメント化し、マーケティング戦略を最適化する上で非常に重要な役割を果たします。
表頭/表側
「表頭(ひょうとう)」「表側(ひょうそく)」とは、クロス集計の作成の際に使用する用語となります。一般にはあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、クロス集計表の作成においては基本的な用語となります。
表頭(ひょうとう):表の上側
表側(ひょうそく):表の左側
ピポットテーブルで表を作成する場合、表頭にしたい項目を「列ラベル」、表側にしたい項目を「行ラベル」をドラッグ&ドロップさせて入力します。これにより、データの視覚的な整理が進み、分析がしやすくなります。さらに、このような構成を用いることで、データの変動や傾向を容易に把握し、特定の要因との相関関係を見出すことが可能となります。クロス集計表は、マーケティング戦略を立てる上でも非常に役立ち、顧客の行動パターンやニーズの分析を行う際に重要な役割を果たします。
上記表の赤丸の数値の見方としては、月に使う洋服の購入金額が5,000円以内の男性が3人いるという意味となります。横軸と縦軸の設問項目を交差させて見たときに、ぶつかる数値が該当の数値となります。
また弊社では上記のようなクロス集計を行っている自主調査レポートを毎月発信していますので、是非ご覧ください!
SAとMAアンケート
SAとMAアンケート調査のやり方は、選択肢を使用した回答形式として「SA(SingleAnswer:単一回答)」と「MA(MultipleAnswer:複数回答)」があります。1つの選択肢を選ぶことで完結できる回答がある一方で、複数の選択肢を選んでもらう必要がある場合にはMAが使用されます。ルールとしてSAの場合は選択肢割合の合計は必ず100%になるので、選択肢の割合の合計が100%にならない場合には、ミスが起きている可能性があるので、注意して確認しましょう。このように、SAとMAの使い分けは、調査の目的や収集したい情報の性質に応じて決定されるため、慎重な設計が求められます。また、各回答形式の特徴を理解することで、適切な分析手法を用いることができ、結果をより正確に解釈できるようになります。特に、マーケティングリサーチにおいては、消費者のニーズを的確に把握するために、これらの回答形式を効果的に活用することが重要です。
弊社クロス集計の具体例と結果
ここからはクロス集計の実際の使用イメージを掴んで頂きたく、弊社が保有している女性パネルに毎月調査を行っている結果をまとめた「女子のキモチ」の人気な調査レポートの中からクロス集計している事例を3つご紹介させていただきます!様々な項目の組み合わせで調査しているレポートが多数ありますので、ご興味のある方は下記からご覧ください。
推し活に関する意識調査
弊社調査レポート人気NO.1「推し活に関する意識調査」の一部調査結果の例をご紹介します。
調査方法:インターネット
調査対象者:全国15~69歳
女性調査期間:2023年4月14日~4月16日
有効対象者:3,170ss
調査期間:株式会社オノフ
■推しの認知経路全体では「TVで見て」が38.7%が最も高く、次いで「動画投稿で見て」(24.5%)、「SNSで見て」(18.8%)と続いています。また年代別では、10~20代は「動画投稿を見て」「SNSを見て」が高く、30代は「動画配信サービスで見て」、40代以上は「TVで見て」が全体と比べて高いことがわかります。推し活ジャンル別では、【k-popアイドル(女性)】を推している人は、「動画投稿で見て」の割合が最も高いが次いで高い「SNSで見て」の結果から、アイドル自身がSNSを駆使して、本業のアイドル活動の場以外でもコミュニケーションを積極的におこなっている様子が多く見受けられ、本業(アイドル)活動を見て認知するのではなく、SNSをきっかけに推しを認知する人も多いのかもしれません。
女性の「食生活」の実態
調査方法:インターネット
調査対象者:全国20~60代
女性調査期間:2022年5月27日~5月30日
有効対象者:3,156ss
調査期間:株式会社オノフ
■バランスの良い食事だと思うものについて、全体で「野菜を多くとる/毎日とる」が70.0%と圧倒的に高く、次いで「一汁三菜(主食、主菜、副菜、汁物)」(57.1%)、「1日3食とる」(56.8%)と続く結果となりました。また60代は「野菜を多くとる」「1日3食とる」「発酵食品を多くとる」「1日に多くの品目をとる」「旬の食材を取り入れる」が、全体と比べても10ポイント以上高い結果となっている一方、20代は「わからない/特にない」と回答している割合が、他の年代と比べて高い結果になっています。
■バランスの良い食事と考えるものの中で、実施できているものバランスの良い食事と考えるものの中で、実施できている割合は「1日3食をとる」が66.9%と最も高く、次いで「野菜を多くとる/毎日とる」(57.4%)、「発酵食品を多くとる」(50.7%)と続く結果となっています。また実施できていない割合は「消化が良い食材を取り入れる」が71.4%と最も高く、次いで「1日に多くの品目をとる」(71.2%)、「1食に多くの食材が入っている」(68.9%)。12項目のうち7項目が、実施できていないと回答している割合が半数を超える結果となりました。
「チル消費」について女性の消費意欲のインサイトは?!
調査方法:インターネット
調査対象者:全国20~60代女性 2024年自分の為にお金を使いたいものがある人
調査期間:2023年12月8日~12月11日
有効対象者:2,260ss
調査期間:株式会社オノフ
■自分の為に使えるお金が増えると思う理由全体で見ると、「お金を使いたいことが増えたから」が40.2%と最も高く、次いで「収入が増えた/増えそうだから」が32.2%、「生活費を節約できているから」が24.2%と続く結果となりました。年代別で見ると、20代・40代は「収入が増えた/増えそうだから」が高く、就職や転職、役職に就くなどの仕事の変化がある割合が多い年代と考えられることから高くなっていると考えられます。また50代は「家族の為に使うお金が減ったから」が高く、子供がいる家庭は子供が高校生や社会人くらいの年代が多いと考えられることから、子供にかかる費用の負担が減ったのかもしれません。
今回は「クロス集計」についてご紹介しました。
クロス集計を活用することで、単なる数値の羅列から意味のあるデータを引き出し、より効果的な戦略の策定に繋げることができます。特に、年代別や性別での違いや特定の購買傾向を明確にすることで、新たな需要を見つけ出す手助けとなります。また、消費者の行動を定期的に追跡することで、変化に迅速に対応できるようになり、競争優位性を保つことにも寄与します。定期的に更新される弊社のブログでは、最新のマーケティングリサーチ手法や成功事例を紹介していますので、ぜひご活用ください。マーケティング戦略の最適化や新商品の開発において、クロス集計がどのようにお役に立つかを具体的なケーススタディを通じて学ぶことができるでしょう。また、弊社の無料相談を通じて、より詳細な分析手法や市場動向についての情報もご提供いたしますので、お気軽にお問い合わせください。