CXMのための顧客体験診断「NPS」を徹底解説
顧客体験診断(NPS)とは
顧客体験診断は、NPSを用いて企業様の顧客ロイヤリティと収益相関性を分析し、提供サービス・商品の改善ポイントを明らかにすることを目的とした調査分析です。
このNPS(ネット・プロモーター・スコア)は、2003年にアメリカで提唱された指標で、ユーザーが企業・サービスに対してどのくらいのロイヤルティー(信頼・愛着)があるかを定量的に測定できる指標です。最も注目されている点として、NPSと収益が相関関係にあり、NPSの向上が業績成長の先行指標となることが分かっています。
実際の計算方法は世界共通で、下記図のように、直接対象者にアンケートを取り、「●●を親しい友人や知人にどの程度オススメしたいと思いますか?」という質問に0〜10点で回答いただき、推奨者(9・10点)の割合から批判者(0−6点)の割合を引いたスコアがNPSになります。
現在、米国の売上げ上位企業【米国Fortune誌/フォーチュン500】の1/3以上がNPSを活用しており、日本でもすでに300社以上の企業が導入されています。
NPSが重要になっている背景
今は、新規顧客の獲得がどんどん難しい時代になっています。
・人口減少
2024年には3人に一人が65歳以上となり、2060年には日本の人口が約8,674万人になると予想されています。つまり、新規顧客の母数は減り続けます。
・情報過多
1年に流れる情報量は「世界中の砂浜の砂粒の数」の40倍と言われています。
ターゲットの生活者に情報を届けるのがとても難しい時代になりました。
上記状況もあり、新規顧客獲得の競争激化により広告費が増大し、新規顧客獲得は既存顧客維持の5倍のコストがかかってしまいます。
せっかく獲得した新規顧客を離脱させないために、ロイヤル顧客へと育成する必要性があります。そして、売上をより安定継続させるためにも、ロイヤル顧客の重要性が増しています。
ロイヤルカスタマーの定義は「企業や商材に愛着を持って、継続的に購入・利用している顧客」です。その企業自体や商品・サービスに“愛着”や“信頼”を感じているため、競合の商品が多少安い価格になったり、競合店の利便性が上がったりしても、簡単には切り替えません。あらゆる製品・サービスにおいて差別化が難しくなった現代では、このようなロイヤルカスタマーをどれだけ増やし維持していけるかが、生き残りの鍵となります。
よく企業ではロイヤルカスタマー=優良顧客と勘違いされることがありますが、優良顧客とは、商品やサービスを頻繁に購入・利用したり、一度に多くのお金を使ったりする顧客を指します。これらの優良顧客には、「セールで安かったから」「他店で買うのが面倒だから」「自動継続になっているので、意識せずに利用し続けている」というような、特に愛着があって購入・利用しているのではない顧客、いわば「見せかけのロイヤルカスタマー」が含まれています。こういった人たちは、現時点では“お得意さま”=優良顧客ですが、競合がより魅力的な商品やサービスを発売したり、お得感のあるキャンペーンを行ったりすると、離れてしまう可能性があります。
NPSによる顧客ロイヤリティの数値化評価
企業の継続的な成長のためにはロイヤル顧客を増やしていくことが重要で、そのためには、継続的に顧客の「心の満足」「頭の満足」両方を満たしロイヤリティを上げる必要があります。それによって、継続購入やLTV(顧客生涯価値)をアップすることが可能になります。
商品・サービスそのものだけでなく、意思決定や購入や使用を通じて顧客が企業との接点で経験するすべてのプロセスを管理し、その「経験価値」を高めようとする考え方をCXM(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)と呼ばれ、ここ数年急激に注目されている手法になります。
このお客様の体験価値に着目した「CXM」に取り組む上で、NPSが欠かせない指標になっています。「顧客ロイヤルティ」(企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い)を定量的にを測定し、PDCAのCの段階で実際に向上しているかどうかを評価することが可能です。
NPSと顧客満足度との違い
NPSと類似している指標として、顧客満足度があります。
「満足度」を答えてもらう顧客満足度調査では、顧客の現時点での商品やサービスの満足度を測るのには適していますが、顧客満足度の向上が、必ずしも再購入や購買金額の増加といった行動につながらないことが明らかになっています。
「競合の方が良い」と思っていても、現在特に不満がなければ「満足」と回答・満足していたとしても、再度購入するつもりとは限らない・回答する時点では再度購入するつもりだったとしても、その後新しい商品が登場したり、ニーズが変わったりすることが往々にしてある顧客満足度調査と比べ、NPSは「顧客の未来の意向と行動傾向を知ることに適している」と言われています。
従って、NPSのほうが、長期的な収益との関連性が大きいと言われています。
NPSの実施メリット
・高い収益相関性
NPSが向上すると業績も連動して向上しますので、売上成長の先行指標となります。
商品やサービスが今後売上を伸ばし、収益を上げる可能性が高いか予測する上での判断基準のひとつとして活用することができます。
実際に色んな調査で言われているのには、「推奨者は批判者の3倍のLTVがある」「推奨度が高い企業は他の競合企業より2倍の売上成長率を上げている」など言われたりもしております。
・競合比較可能な全社指標
NPSの定義が共通しているので、単一の部署などではなく、全社共通指標として利用可能です。また自社での調査はもちろん、同じく定義が共通しているため、競合や業界平均との相対評価を行うことで、業界内での自社の立ち位置が把握できます。
NPSの基本的な設問構造
ユーザーコミュニケーション状況をヒアリングし、ユーザーとのすべての接点(体験)を洗い出してロイヤルティの構成要素として聴取します。
NPSの算出方法
NPSを測るには、「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という質問を行い、0~10の11段階で評価をしてもらいます。NPSアンケートではこのシンプルな聞き方でスコアリングします。
アンケートの回答に応じて、「推奨者」、「中立者」、「批判者」の3つのタイプに顧客を分類します。推奨者は、再購入比率が群を抜いて高く、紹介客の多くがこのタイプの顧客からの紹介です。逆に批判者は、否定的なクチコミにより、新規顧客の購入意欲に水を差し、従業員の意欲をそぐ存在とさえなりえます。
NPSスコアの計算方法は非常にシンプルで、9~10点を付けた顧客を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類し、回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引いで出てきた数値がNPSの値となります。
NPSの分析のイメージ
NPSの分析のためには各サービスに対して回答いただいた点数に対して、
「その推奨度がどの経験の影響を受けたのか」を「その具体的な内容」が何であるか具体的に聞き、掘り下げていきます。
これで自社の強み、課題とその真因を正しく可視化するための分析材料を得ます。
CXM、NPSのご相談
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