日本のリテールメディア広告市場が急成長中、小売業界での実店舗とオンラインが連携した事例を紹介
ここ最近、リテールメディアが話題になることが増えてきました。リテールメディアは、小売事業者が自社の持つデジタルデータを活用することで、デジタル広告を配信できるようにする仕組みで、広告市場の中でも大きく成長し始めているジャンルの一つとなります。
日本のリテールメディア市場規模について
日本のリテールメディア市場規模は、2022年9月に株式会社CARTA HOLDINGSが発表した「2022年のリテールメディア広告市場規模推計・予測2021年-2026年」によれば、2022年のリテールメディア広告市場は135億円、2026年には約6倍の805億円規模に拡大すると予測されます。
広告代理店の支援等により小売企業のリテールメディア事業が活性化しており、メーカー側にも店舗での顧客コミュニケーションを深めるための新しい施策として注目され始めています。
小売業界でのDX化が進みオンライン広告とオフラインでの購買データが紐づくようになり始めたことなど、実店舗を持つ小売事業者が活用しやすいデジタルデータの基盤整備が整い始めていることが成長につながっています。
顧客のオンラインからオフラインの消費行動の解像度が上がり、広告効果を明確に計測することが可能になることで、リテールメディア広告市場規模は、より伸びてゆくと予測されています。
リテールメディアの事例紹介
国内でのリテールメディアの事例は、まだ少なく、EC系のリテールメディアと実店舗系のリテールメディアを分けて考える必要があります。
EC系では、Amazon、楽天、ZOZOなどは代表例で、購買データや検索内容などにも基づき、広告を配信しています。商品ページに豊富な商品の説明や写真を用意し、顧客のレビューや購入履歴に基づいた関連商品の提案をしています。
日本では、ZOZOTOWNのリテールメディアの取り組みが積極的で、「ファッションのことならZOZO」というブランドづくりに徹しており、ファッションアイテムをモデルが着用した画像や動画を提供するにとどまらず、ECサイトで服やコスメを購入する際に、試着や試し塗りができないという障壁を解消するため、計測テクノロジーにも力を入れているのが特徴です。また、リアルタイム性のあるデータをマーケティングで活用するために、AIを積極的に活用しており、新しい顧客体験を提供しつづけています。
実店舗系のリテールメディアは、ユニクロがわかりやすい事例ではないでしょうか。ユニクロは、実店舗での販売につながるように、リテールメディアを活用しています。ユニクロのウェブサイトでは、商品情報だけでなく、着こなしのコツがわかり様な情報が掲載されており、店舗では、QRコードを用いた情報提供サービスが導入されており、商品情報やコーディネート例を確認できるようになっています。また、アプリやレジも連携されており、継ぎ目がない購買体験ができるようになっています。
実店舗での販売に加えて、リテールメディアを活用することで、消費者との関係を強化し、ブランドの認知度を高めることが可能になります。消費者のニーズに合わせた情報提供を継続することで、顧客との関係を強化していくことが期待できます。
ウォルマートの取り組むリテールメディアの事例
ウォルマートは、米国の大手小売業者で、実店舗系のリテールメディアを活用している事例として紹介されることがあります。
ウォルマートが提供しているウォルマートコネクト(Walmart Connect)は、ウォルマートが新たに始めた広告プラットフォーム事業で、メーカーなどの取引先に対し、店舗やウェブサイトを通じて、デジタル広告を提供しています。その売り上げ規模は、2500億以上と発表されています。
ウォルマートコネクトを利用することで、メーカーや取引先は、ウォルマートのオンラインストアでの広告を出稿できるだけでなく、ウォルマートのアプリやウェブサイト、提携するメディアパートナーの広告枠に広告を掲載することができます。また、消費者がウォルマート店舗やオンラインストアやアプリを利用する際に蓄積されたデータを分析し、精度の高いターゲティング広告を配信することができようになっています。何よりもウォルマートはアメリカ国内においても、大きなシェアを持つ小売業者であるため、接触可能なアクティブユーザも多く、マスメディア広告の効果が弱まっている中で、効果的なアプローチができるメディアとして成長しているのです。