リテールメディアを活用する3つの方法
リテールメディアとは、小売事業者がデジタル広告を配信できるようにする仕組みで、小売事業者が自社の持つデジタルデータを活用することで、広告メディアとしての価値を高めることができる仕組みです。
今やインターネット広告がマスコミの広告費(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌の広告費)を上回り、ネット広告とマス広告での相乗効果が求められる中、リテールメディアは、消費者の行動変容を促す重要なツールとして注目されています。
特に、オンライン広告とオフラインでの購買データが紐づくようになり始めたことなど、実店舗を持つ小売事業者が活用しやすいデジタルデータの基盤整備が整い始めました。そうした流れにより、店舗を含めた複数の接点で、消費者と商品とをつなぐメディアとして注目が深まってきています。
今回は、プロモーションへの活用、データの収集、顧客との関係づくりについて、リテールメディアを活用する方法をまとめていきたいと思います。
プロモーションへの活用
リテールメディアの強みは、小売り店舗が広告という形で活用できるようになったことです。広告を出稿する側は、小売り側の購買データを活用できることに加えて、実際に購買まで結び付いたかを検証できる利点があります。
何よりも、購買データを基に広告配信できるため、購買意欲が高い方にアプローチできる点が、他のプロモーションとの大きな違いになります。
こうしたデータ基盤を作り上げるために、小売側は、顧客の購買や行動データを蓄積して、分析するためのプラットフォームを構築しています。
会員情報や購買履歴など、自社で収集しているデータを、顧客毎のIDに紐付けて蓄積・管理してゆくことでプロモーションにも活用できるデータを収集しています。こうした顧客データを一元管理して把握したい小売店舗側のニーズは多いのですが、会員データの基盤が店舗とECショップ、アプリなで、バラバラに管理され、分析できる形になっていないことが多くありました。近年、そうした環境が改善されていることもあり、リテールメディアが注目され始めています。
リテールメディアを活用したデータ収集
リテールメディアは、消費者のデータをより詳細に収集するために活用することができます。消費者の購買履歴に加えて、ECサイトやアプリ、店舗まで含めて、カートに追加した商品なども含めて情報を収集することができます。こうしたデータを活用することで、顧客行動の予測や顧客体験の最適化などに活用することができます。また、リテールメディアを活用して、お客様に特典を与えることで、より詳細な消費者の嗜好に関するデータを収集してゆくことも可能になります。小売り店舗側では、こうしたデータを自社で活用するだけではなく、広告という形で、メーカー側にデータ活用のサービスを提供する仕組みを整え、収益化し始めています。
メーカー側は従来も店頭プロモーションに費用をかけてきましたが、その投資効果が不明瞭だったことが課題でした。例えば、デジタルサイネージ等も視聴データが計測できるようになったことで、より効果的なプロモーションを行うことができるようになり、分析したデータを活用することができるようになりました。
リテールメディアを通じた顧客との関係づくり
リテールメディアは、顧客満足度向上に向けた取り組みにも活用することができます。
リテールメディアでは、商品を購入した新規顧客がその後、継続してリピート購入しているかを把握することができるので、より深い顧客との関係づくりに活用することができます。
顧客ごとに最適化された、キャンペーンや特典を提供することで、購買者がより価値を感じてくれるようにコミュニケーションを設計することができます。また、リテールメディアを活用することで、直接、質問に答えたり、商品を紹介したりするなど、きめ細かいカスタマーサービスを提供することもできます。これは、顧客との関係性を深めて、ロイヤリティを高めることに繋がります。
リテールメディアでは広告に接触した顧客が実際に商品の購入したのかが分かることが特徴で、従来の広告よりも消費現場に近い接点で広告を配信できるのが強みになります。
顧客の近くで発信していくことで、顧客にしっかりと特徴を伝える必要がある商品などのPRに活用することが可能になります。
どうすればニーズのある方に、正しく商品価値を伝えることができるかは、リテールメディアを通じた顧客との関係づくりを進めることで大きな課題です。
顧客との接点が増える過ぎ、情報超過になってしまうため、顧客との関係づくりのためには、適切な情報を、適切な場所で出すことで、顧客に寄り添うようなコミュニケーションを設計することが求められています。