顧客獲得コスト(CAC)とは?計算方法やCPAとの違い、改善方法を分かりやすく解説
デジタルマーケティングカンパニー・オノフのnagaiです。
今回はCACの定義や算出方法についてご紹介いたします。
顧客獲得コスト(CAC)は、顧客を獲得するために必要な費用であり、この指標は、特にマーケティングや営業戦略を考える上で非常に重要です。
CACの計算には、広告費用や営業スタッフの人件費など、顧客獲得にかかった総合コストを新規顧客の獲得数で割るという方法が用いられます。
具体的に計算すると、例えば240万円のコストで30人の新規顧客を獲得した場合、CACは8万円となります。
これは、1人の顧客を獲得するために8万円の費用がかかることを意味します。
また、CACを効果的に管理するためには、OrganicCACやPaidCAC、BlendedCACといった異なるタイプのCACを理解することが重要です。
特に、SaaSビジネスにおいては、これらの指標を用いることで、効率的なマーケティング戦略を構築することができます。
加えて、CACを改善するためには、広告チャネルの最適化や、マーケティングオートメーションツールの活用が推奨されます。
これにより、顧客獲得コストを削減し、収益性を向上させることが可能となります。
顧客獲得コスト(CAC)とは?
CACとは、カスタマーアクイジションコストの略称で、一顧客獲得に要した営業・マーケティングのトータルコストを指します。つまり「顧客獲得単価」です。
CACはSaaSやサブスクリプション型のビジネスでよく用いられ、適切なマーケティング戦略を策定するために欠かせない指標です。CACを把握することで、投資すべきマーケティングチャネルの見極めやユニットエコノミクスの算出が可能となります。
またCACにおいては検索エンジンで調べたり、SNSのタイムラインに表示された記事のリンクから訪ねてくれたりしたノンペイド(広告費などをかけていない)のユーザーも対象になります。CPAよりCACの方がより細かくユーザーを見ている(粒度が高い)ことになります。
さらに、CACを改善するためには、OrganicCACやPaidCAC、BlendedCACといった異なる側面からの分析が重要です。特に、SaaSビジネスへの適用においては、これらの指標を用いることで顧客獲得の効率を高めることが期待されます。
顧客獲得コストを正確に理解し、適切に管理することで、企業は長期的な利益を確保しやすくなります。これがSaaSビジネスにおける競争優位性の構築につながるのです。
顧客獲得コスト(CAC)の重要性
顧客獲得コスト(CAC)は、ビジネスの成功において非常に重要な指標です。CACを把握することで、マーケティング施策の効果を評価し、成長戦略を適切に策定することが可能になります。企業はこの指標を利用して投資対効果を最大化し、リソースを効率的に配分することが求められます。
ビジネス成長に不可欠な指標
顧客獲得コスト(CAC)は、ビジネスの成長を測る上で欠かせない指標です。この指標をしっかりと把握することで、マーケティング活動の効率を高め、リソースの最適化が図れるようになります。CACの分析を通じて、どの施策が最も効果的なのかを理解し、戦略的な意思決定が可能になります。ビジネスを持続的に成長させるためには、CACの重要性を認識し、適切に管理することが必要です。
顧客獲得コスト(CAC)の計算方法
次にCACの計算方法についてです。
CAC=新規顧客獲得に関する費用の合計÷新規顧客獲得数
で求めることが出来ます。
“新規顧客獲得に関する費用の合計に含まれる項目としては、「一定期間の販売促進・広告費用、営業給与、代理店手数料、賞与、間接費」があります。
CACは月間・四半期・1年などの期間で区切って算出します。月によって費用の変動が大きい場合は、四半期や1年など長めの期間で算出することがポイントです。顧客獲得に関する費用は、営業費用とマーケティング費用が主ですが、正確には人件費やオフィス賃料などの間接費も含む点に注意してください。
またCACがLTVを上回ってしまうと、当該事業の存続は難しいことが言えます。CACがLTVを上回るということは、一顧客あたりの生涯利益が5,000円のサービスに対して、一顧客あたりの獲得費用に5,001円以上を投じるということです。そのため、CACをLTVの3分の1以下にまで抑える必要があります。
CACの計算においては、例えば「Organic CAC」と「Paid CAC」をきちんと分けて考えることも重要です。これによって、どのチャネルが最も効率的に顧客を獲得できているのかを把握することができ、戦略的なマーケティング活動に役立てることができるでしょう。
さらに、CACを算出した後には、どのように改善するかが次のステップとなります。具体的には、マーケティングオートメーション(MA)ツールや顧客管理システム(CRM)の導入、広告戦略の見直し、そしてコンバージョン率を高める施策を検討することが理想です。これにより、CACの効率的な管理と、さらなるビジネスの成長が期待できるでしょう。
基本の計算方法
顧客獲得コスト(CAC)は、企業が新規顧客を獲得するためにかかる総費用を測る重要な指標です。この基本の計算方法は、CACを算出するための第一歩となります。CACの計算式は、顧客獲得のためにかかったコストを新規顧客の獲得数で割ることで求められます。
CAC = 顧客獲得にかかった費用 ÷ 新規顧客獲得数
この計算により、どれだけのコストが新たな顧客を生み出すために必要であるかを明確に把握できます。
Organic CACの計算方法
Organic CACは、自然に増えた顧客を獲得するためにかかったコストを算出する方法です。このプロセスでは、SEO対策やオーガニックなマーケティング施策にかかる費用を計上し、それを自然増の新規顧客数で割ることで求められます。具体的には、以下の計算式を用います。
Organic CAC = 自然増の顧客獲得にかかった費用 ÷ 自然チャネルからの新規顧客獲得数
この指標を把握することにより、コストをおさえつつ、より持続可能な顧客獲得戦略を構築することが可能になります。
Paid CACの計算方法
Paid CACの計算方法は、特定の有料チャネルから新規顧客を獲得するためにかかったコストを把握するための重要な手法です。具体的には、以下の計算式を用います。
Paid CAC = 有料の広告費やキャンペーンにかかる総コスト ÷ 有料チャネルから得られた新規顧客数
この計算により、どの広告投資が最も効果的であったかを分析し、資源の最適化につなげることができます。
Blended CACの計算方法
Blended CACは、単に顧客獲得にかかる総コストを把握するだけでなく、事業全体のパフォーマンスを見直すために役立ちます。具体的には以下の計算式を用います。
Blended CAC = 全営業コストと全マーケティングコストの合計費用 ÷ 新規顧客の獲得数
この計算は、企業の収益性や顧客獲得戦略の評価において重要な役割を果たします。
CACとLTVの関係性とは
CACと合わせて評価指標として活用されることが多いLTVですが、LTVとは何かを改めて確認します。
先ほど「CACがLTVを上回ってしまうと、当該事業の存続は難しいことが言える」と述べたようにCACとLTVには関係性があるのです。
LTVとは
LTVは「LifeTime Value(顧客生涯価値)」の略で、これは一人の顧客がその企業から生涯にわたって購入する総額を指します。この概念は、まずBtoCビジネスで広まりました。新規顧客の獲得は重要ですが、獲得には「CAC(顧客獲得コスト)」という費用がかかります。それに対して、既存の顧客が何度も商品やサービスを利用してくれるように継続的なフォローを行う方が、コストが低く効率的だという考え方から、LTVを最大化することが重視されるようになりました。
BtoBビジネス、特にSaaS企業やサブスクリプションサービスにおいても、顧客の解約を防ぐためにフォローアップが欠かせず、LTVが大きな指標となっています。サブスクリプションサービスにおけるLTVの計算方法はいくつかありますが、一般的な式は以下の通りです。
LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均顧客寿命
平均顧客寿命 = 1 / チャーンレート(解約率)
チャーンレート = 当月の解約顧客数 / 前月末の顧客数 × 100
顧客獲得コスト(CAC)を改善する方法
顧客獲得コスト(CAC)は、ビジネスの成長を持続するために重要な指標です。このセクションでは、CACを効果的に改善するための方法について解説します。具体的には、マーケティングオートメーション(MA)ツールや顧客管理(CRM)システムの導入、コンバージョン率を向上させる施策、そして広告戦略の最適化に焦点を当てます。これらのアプローチを通じて、CACの効率的な管理を実現し、より健全なビジネス運営を目指します。
MAツールやCRM(顧客管理)システムを導入する
CACを抑える方法として、MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客管理)システムを導入することが考えられます。
MAツールやCRMシステムを適切に使うことで、顧客情報を一元管理し煩雑な業務を自動化することができます。
その結果、マーケティングや営業活動が効率化され、人件費などのコストを抑えられると考えられます。
具体的には、これらのツールを活用することで、見込み顧客の育成や有望顧客の抽出、そして営業部門とマーケティング部門の連携がスムーズになります。
そのため、業務の非効率を排除し、CACの改善が期待できるのです。
さらに、データ分析機能を搭載したMAツールを使用することで、リアルタイムでキャンペーンの効果を測定し、必要に応じて迅速に戦略を調整することが可能となります。
コンバージョン率(CVR)をアップさせる
コンバージョン率(CVR)をアップさせる施策は、CACを下げることに直結します。コンバージョン率が高いほど、訪問者数に対して効率的に顧客を獲得できているということになり、結果としてCACが低くなります。
コンバージョン率を上げるには、よりコンバージョンに至りやすい見込み客を集めることが重要です。解析ツールを用いて、コンバージョンに至る導線、離脱に繋がっているページなどを洗い出し、最適化を行うとよいでしょう。ターゲットを絞ってピンポイントで広告を出したり、ユーザーの属性に応じて広告の施策を変えたりというアプローチもあります。
さらに、ランディングページのデザインやコンテンツも重要な要素です。ユーザーが求める情報を分かりやすく提供し、行動を促す強力なCTA(コール・トゥ・アクション)を配置することが効果的です。
また、A/Bテストを実施して異なるバージョンのページや広告を比較し、どの要素がより効果的かを見極めることも有用です。この分析結果をもとに、継続的に改善を図ることで、コンバージョン率を徐々に向上させていくことが可能となります。
広告を最適化する
顧客獲得にかかるコストを下げるには、新規顧客獲得のための広告費用を最適化することも有効です。既存広告の見直しを行い、より効果の高い出稿先だけに絞り込むなどの施策が考えられます。
また、特定のターゲット層に対してカスタマイズした広告を展開することで、無駄なコストを削減し、効率的な顧客獲得を実現することができます。
場合によっては広告出稿をやめ、検索などによる自然流入数を増やす施策を考えるという選択肢もあります。OrganicCACの改善に成功すれば、長期的なコスト抑制が図ることが出来ます。
さらに、広告の効果を測定し、データに基づいた意思決定を行うことも重要です。A/Bテストを実施して異なる広告クリエイティブや文言を試し、どの戦略がより効果的かを見極めましょう。
こうした継続的な分析と最適化を行うことで、広告予算を最大限に活用し、CACを低く抑えることが可能になります。
顧客獲得チャネル別の顧客獲得コスト
CACは顧客チャネル別に以下の3つに分けられます。
まず、Organic CACは自然な流入で獲得した顧客にかかるコストです。これにはSEOやリピーターからの紹介などが含まれ、広告費用をかけずに新規顧客を獲得できるため、通常はコストが低く抑えられる傾向があります。
次に、Paid CACは、有料広告やマーケティング施策に投資して獲得した顧客のコストを示します。この場合、通信費や広告出稿費などが含まれ、広告の選定や運用方法によって大きく変動します。
最後に、Blended CACはOrganic CACとPaid CACを組み合わせて算出した指標で、全体の顧客獲得コストを評価する際に用いられます。この指標を活用することで、企業全体のマーケティング戦略の効率性を評価しやすくなります。
それぞれのチャネルを正確に分析することで、効率的なマーケティング戦略を構築し、顧客獲得コストの最適化に役立てることができるでしょう。各チャネルでのデータを把握することは、戦略の見直しやリソース配分の決定においても重要です。
Organic CAC
広告などのコストをかけずに自然増加した顧客単価を指します。
検索エンジンやSNSからの流入、クチコミ、既存顧客からの紹介といったチャネルから獲得した顧客が該当します。
このような自然流入による顧客増加も少なくないため、CACを正確に測るためにはOrganicCACを見落とさないようにすることがポイントです。
また、顧客獲得戦略においてOrganicCACを分析することで、費用対効果の良いマーケティング施策を見つける手助けにもなります。
特に、長期的に安定して顧客を獲得するためには、OrganicCACの向上を図ることが重要です。
SEO対策やコンテンツマーケティングを通じて、自社の認知度を高めることが、結果的に顧客獲得コストを下げることにつながります。
このように、OrganicCACの分析は、企業の成長を促進するための一つの鍵となります。
Paid CAC
コストをかけたチャネルから獲得した顧客単価を指します。CMやインターネット広告、イベント開催や出展など、顧客獲得を目的として投資したあらゆる施策の費用が該当します。マーケティングや営業において顧客獲得施策の効果を測るには、CACの中でもPaidCACを指標とするのが適切です。
PaidCACを算出することで、特定の広告施策やマーケティングチャネルがどの程度の費用対効果を持っているかを評価することができるため、適切なリソース配分が可能になります。
また、PaidCACを改善するための手段としては、広告のターゲティング精度を高めたり、文言やクリエイティブの最適化を行ったりすることが有効です。これにより、無駄な支出を抑えつつ、有料チャネルからの新規顧客獲得を効率化することが期待できます。
継続的な分析と改善を行うことで、企業全体のマーケティング戦略を強化し、PaidCACを低く抑えることが可能となります。
Blended CAC
Blended CACは、企業が全体の顧客獲得コストを把握する際に非常に重要な指標となります。これにより、Organic CACとPaid CACという2つの異なるチャネルのパフォーマンスを総合的に評価し、どちらの施策がより効果的かを理解することができます。
特に、マーケティングの戦略を見直す際には、このBlended CACを用いることで、広告費や営業費用を含めた全体のコスト対効果を確認することが可能です。
また、定期的にBlended CACを分析することで、特定のチャネルに依存することなく、バランスの取れた顧客獲得戦略を構築することができます。
これにより、企業はより持続可能で効果的な成長を目指すことができるのです。
顧客獲得コスト(CAC)の改善に向けた実践的ステップ
顧客獲得コスト(CAC)の改善には、具体的なステップを踏むことが重要です。これには、データ分析を通じて客観的な数値を把握し、マーケティング施策の効果を測定することが含まれます。ターゲットチャネルごとの効果分析を行い、どの戦略が最も成功しているのかを評価することも大切です。このプロセスを通じて、最適な戦略を見出し、効率的な顧客獲得を目指すことが可能になります。
データ分析による戦略的アプローチ
データ分析は、顧客獲得コスト(CAC)を改善するための戦略的アプローチを構築するうえで欠かせない要素です。具体的なデータをもとに施策の効果を測定し、どのチャネルが成果を上げているかを把握することで、マーケティング活動を最適化することが可能になります。これにより、リソースを無駄なく配分し、より効果的な顧客獲得を実現できるでしょう。
チャネルごとの効果分析の重要性
マーケティング戦略を効果的に進めるためには、チャネルごとの効果分析が欠かせません。各チャネルから得られるデータを詳細に分析することで、どの施策が最も成功しているのかを判断し、リソースを最適に配分することが可能になります。このプロセスによって、CACを低減し、より効率的な顧客獲得が実現できるでしょう。
CPAとCACの違い
CPAとCACは「顧客獲得単価」を意味する用語ですが、両者は使われるシーンが異なります。
CACは主にプロジェクトやマーケティングチャネル単位で使われます。
それに対してCPAは、広告出稿費用など1つの施策あたりのコストを示す際に使われる指標です。
CPAは主にデジタル広告の分野で用いられます。
両者の違いを理解することは、マーケティング戦略の立案において非常に重要です。
CACは、企業全体の顧客獲得コストを包括的に評価するための指標であり、複数のチャネルから得られたデータを統合する際に役立ちます。
一方、CPAは特定の広告施策がどれだけ効果的であるかを分析するための有用な指標です。
それぞれの指標を使いこなすことで、マーケティング施策のパフォーマンスを正確に把握し、改善点を見出すことができます。
CPAの定義と役割
CPA(Cost Per Acquisition)は、顧客獲得にかかる費用を示す指標であり、特にデジタルマーケティングにおいてその重要性が増しています。CPAは、特定のプロモーションや広告キャンペーンの効果を測定するために使われ、1件の顧客獲得にかかるコストを把握することができます。この指標を通じて、マーケティング戦略を最適化し、リソースを効率的に配分することが可能となります。
顧客獲得におけるCACとCPAの相互関係
顧客獲得コスト(CAC)とコストパーアクイジション(CPA)は、いずれもマーケティングの重要な指標であり、顧客を獲得するための効率性を分析する際に相互に関係しています。CACは企業全体の顧客獲得コストを示し、CPAは特定のマーケティング施策にかかるコストを分析するために使用されます。この2つの指標をうまく活用することで、マーケティング戦略を最適化し、リソースを効率的に配分できるようになります。
まとめ
顧客獲得コスト(CAC)やコストパーアクイジション(CPA)についての理解を深めることは、ビジネスの成長に不可欠です。これらの指標を適切に活用することで、マーケティング施策の効果を最大化し、顧客獲得のコストを抑えることができます。最終的には、持続可能な成長を実現するための戦略を立てることが重要です。それぞれの指標の特性を把握し、データに基づいた意思決定を行うことで、より効果的なマーケティング活動が可能になります。