この記事は2021年7月28日に開催したオンラインセミナー「顧客体験価値設計 フェムテック徹底解剖2」の内容をもとに作成しています。
コロナ禍によって、人々のライフスタイルが激変したことで、これまでの顧客との接し方にも大きな変化が求められている現在、そのコミュニケーションをどう設計するべきなのか?
今回は生理などの女性特有の体をめぐる悩みに対して、日々新たなテクノロジーや・サービスで解決し、進化を続けている「フェムテック」を顧客体験という視点からセッションします。
国内におけるフェムテックの動向
そもそもFemTech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスのことを指します。
国内のFemTech市場では2020年時点で総勢97のサービスが展開されています。
カテゴリとしては、ウェルネス系が41サービス、月経関連24サービス、妊活産後ケアが19サービス、更年期関連が3サービスとなっています。
こちらは2019年度と比較すると40サービス以上増えており、拡大傾向にあると言えます。
フェムテックに必要不可欠な女性起点マーケティング
世の中的には、ちょっと今まで会社や家庭や友人と話すのがためらわれた、女性特有の身体の悩みごとが少し話しやすい環境になりつつあるかと思われますが、実際どうなのか調査しました。
今回は、弊社の調査データより、スキンケアに関すること、更年期症状に関することをピックアップしてのご紹介です。
全国の20~60代以上の女性3,000人に聞いた結果です。
スキンケアについて。そもそも人に相談するなど話をしてみたいという気持ちがあるかどうかでいうとアンケート回答者の54%は、誰にも話したくないといっています。
誰かに話したい人と答えた人のうち、実際相談したことのある人は85.5%となり、誰にも話したくない人の実態は、相談したことは11%と低い結果になっています。
更年期症状については、どうでしょうか。先程のスキンケアよりも更に話したくない比率が高くなっていますね。対象の方1800人のうち62%が話したくないと回答しています。
真ん中のグラフを見て頂きたいのですが、誰かに話したい人の内訳をみると回答者の32%が話したいけど、実際相談したことはないですね。
相談したいけど相手がいない、そもそも相談しづらい。といった仮説が浮かんできますね。
結果としては実際他人に言いやすい、相談しやすい状況になっているかというと、そうでもないことが分かりました。
コロナ禍で、オンライン診療や一般のオンライン相談サービスが増えてきているとはいえ、信頼性も含めて、発展途上の領域ではあると思います。
我々としては、真にユーザーニーズがどこにあるのかを把握して、やれることを探すことが必要じゃないかと常々考えています。
ユーザーが利用したい内容なのか、助けになるのが何なのかを追求しながらサービス開発するには実際にユーザーの声を傾聴しながら行う、つまり徹底したユーザー起点のマーケティングで利用者に満足いただくということです。
まず、これまでセミナーで扱ってきた内容は、美容・健康中心ですが、これらの調子のアップダウンに影響するものは多数あります。
気象、ストレス、睡眠、疲労、それを受けて感じるその人のマインドや価値観などが交わって影響していきます。
過剰に心配されたり、あれがいい、これやれ。とか言われたらうっとおしいけど(笑)
そうですよね、お客様の主観が大事なんですよね。もともと生体データをとった結果で、判断、対処アドバイスはスタンダードですが、そこで十分に悩みが緩和されたり、改善されてハッピーになれるのか、それが顧客満足につながるのか。より心にささるものは何なのか。これをユーザー起点で追求していきたいと思います。
オノフの提供する寄り添い型フェムテック
オノフのサービス開発思想は、寄り添い/情緒のDX化です。
情緒のDX化とは、お客様に先回りする、お客様の気持ちをくんで先回りする。後からフォローするなど、お客様の主観を大事にするということです。
なのでひたすら、お客様の体感、主観を知ることと、知り得た状態に呼応する事をデジタルで対応しています。
もちろんオンラインで自動配信するのですが、お客様の方もうすうす分かっていながらも、満足できる領域を目指しています。
それに加えて人はファクトデータを出して、商品をすすめるだけでは心は動かないという実例もあります。
例えば、昔シャンプーブランドでユーザーの98%が満足と答えました!といった広告がよくありましたね。あと全米が泣いた!という映画の宣伝。
それで私も買おう、見ようと思う人がどれだけいたのでしょうか。家族や信頼する友人のオススメなら心が動くかもしませんが、あくまで主観が満足度につながるので、ファクトデータ文脈だけでは、購買動機にはつながりにくいということです。
ボディビルダーが健康診断を受診して、お腹まわりの数値でメタボ判定された。こんな笑い話もあります。
数値では測れない本人の納得度、満足度が存在するということです。
寄り添い/情緒のDX 化粧品の例
では、オンライン上で寄り添うためのプロファイリングはどのように作ればよいでしょうか。
もちろんいきなり体感に寄り添うのは難しいです。オンラインで化粧品カウンターでやるような水分チェックなどはまずできません。
それでどうするかですが、お肌の場合は、まずアンケートで自己申告による肌タイプ診断、ご本人申告による肌悩み、健康の悩み、なりたき姿、普段のライフスタイル。あと購買志向。これらをお預かりします。
続いて、重要な肌調子のレコーディングです。
一定期間、だいたい生理周期も踏まえて1ヶ月程度を目安に毎日お肌の調子をLINE上でレコーディングしていきます。
そうすると、肌調子のアップダウンのデータがとれ、私達はそこに過去の気象データを重ねて、気象条件に左右されやすい方なのか判別します。
次に先程の基礎的なプロファイルを重ねて、グルーピングをしメッセージ開発をしていきます。
次にシナリオ設計として、お肌のバイオリズムの波と、気象条件、月経の周期などを掛け合わせて、タイプを診断していきます。
次にメッセージ開発において寄り添えるよう、チャート診断による肌タイプ、お肌の悩みの他、生活スタイル、購買志向などを聞いていきます。
最終的には顧客のLTV(ライフタイムバリュー)伸長をゴールとしています。
状態に寄り添うのをベースにエンゲージメントという基礎を築き、コンテンツや、商品の紹介を挟むことによりアップセルを伸長する施策を入れていきます。
今回ご紹介した内容はあくまでも一例です。
顧客ごとに適切なタイミングで効果的な情報提供・コミュニケーションを行うことを目指しています。具体的な収益の部分での費用対効果の部分に関しましては、実際にお問い合わせ頂いた際にシュミレーション致します。お気軽にご相談ください。
登壇者
登壇者株式会社レジェンド・パートナーズ 取締役会長 海老根 智仁
1991年、大広に入社。その後、社会経済生産性本部(現在の日本生産性本部)にて経営コンサルタントとしてキャリアを積み、1999年、株式会社オプトに創業者の一人として合流。2001年同社代表取締役COO就任。2006年、同社代表取締役CEO就任。2008年、代表取締役社長CEO就任。2009年、同社取締役会長就任。
現在は退任し、様々なベンチャー企業への投資や経営に携わっている。
株式会社オノフ 執行役員 山口 祐子
2007年株式会社オノフ入社以降、企業のデジタル広報を数多く手がけてきた。2013年よりウェブ企画制作主体であった同社のマーケティングリサーチ事業の立上げに参画し現在は企業課題に対しマーケティング戦略立案、CXデザイン、戦術実装全般を支援している。