ホームユーステスト(HUT)とは
デジタルマーケティングカンパニー・オノフのすぎやまです。
今回はホームユーステストについて詳しく解説させて頂きます。
ホームユーステストを実施したことのない方にも参考にして頂けたらと思います。
「ホームユーステスト」とは?
ホームユーステスト(HUT)とは、一定の期間を設けて実際に製品等を家庭で使用してもらい、その評価や感想を取得する調査のことを指し、会場調査では得られない「日常利用に近い視点での評価」を得るための手法です。
ユーザーは、無料で気になる商品を試すことができ、企業は商品を試したユーザーからのリアルな回答を得ることができるので、商品の質を改善・向上するためのヒントを得ることができます。
「ホームユーステスト」のメリット・デメリット
次に「ホームユーステスト」のメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
・リアルな家庭環境や生活習慣の中で試用するため、よりターゲットの実態に近い本音を聴くことが出来ます。また、同居人の意見なども聞くことができ、ユーザーの使用環境を想像する手助けになる。
・一定期間試用されることで、途中経過(商品に飽きないか、商品の消耗の度合いはどうかなど)を一緒に調査することが出来る。
・モニターが、「ホームユーステスト」を通して商品のファン=顧客になることもある。
・アンケートはインターネットリサーチで実施可能なため、調査期間終了から納品までが速い。
デメリット
・一定期間に及ぶため、モニターの途中離脱が起こりうる。
・報酬だけでなく商品の発送料など、ある程度のコストがかかる。
(商品によっては、使用後に回収するための送料もかかります。)
・実際の試用状況は監視できないため、モニター毎にずれが生じる場合がある。
(例えば商品がフライパンなどの場合、火力や油量、調理具材など、試用条件の統一が難しいことがあります)
・商品の管理はモニターに一任される為、管理体制が不安定
・アンケート調査の内容について、その場で確認や深堀がしたい場合は向いていない
・作業工程が多く、時間と期間を要する
・機密性が非常に高い場合は向いていない
「ホームユーステスト」の目的
「ホームユーステスト」の目的は大きく2つあります。
まず1つ目は「一定期間試用し、新製品・試作品を評価してほしい」場合です。新製品や開発中のテスト品まで、上市する前にターゲット評価を取得することができます。また、自宅で商品を一定期間試してもらうことができるため、サプリメントや化粧品、健康食品などの調査を実施することができます。複数商品であっても、使用する順番を調査対象者毎に設定することで、順序バイアスを軽減した調査が可能となります。
2つ目は「既存商品の課題を把握したい」場合です。既存商品の評価を取得することやリニューアルの方向性を絞りこむために複数のテスト品の評価を取得することも可能となります。その他にもホームユーステストでテスト品の評価を行い、評価の内容をもとに、インタビュー調査で更に深堀をした調査に繋げることも出来ます。
「ホームユーステスト」の流れ・手順
ホームユーステストを実施する場合の流れを解説致します。
1.調査企画
まずはじめに調査目的と内容の設定を行います。ホームユーステストの場合は、対象商品が限定される分、企画が立てやすい傾向にあります。
2.スクリーナー作成
ホームユーステストでは、商品のターゲット層になりうる対象者に試用してもらう必要があるため、対象者のスクリーニングが必要となります。そのため、スクリーニング調査票を作成し、多数のモニターから対象者を選定します。
3.モニター募集と実査
対象者条件が決まったらモニターを募集します。
条件に合致したモニターが決まったら、テスト品とアンケート用紙の送付(実査)に移ります。ここで重要なのが、モニターに商品を送付する際にブランド名を明らかにするか否かという提示方法や、モニターが商品をどのような基準で評価するかという評価方法です。
4.アンケート集計・分析
アンケート回収後は集計と分析に入ります。集計方法は主に単純集計とクロス集計であり、アンケート結果を深堀する場合は、主にクロス集計が使われます。
調査会社は、ホームユーステストにおける知識やスキルが十分に揃っているだけでなく、集計や分析における経験実績に長けています。調査は細かいオプションに分かれていて、専門知識を要する部分だけ調査会社に依頼するといった方法もとれる場合があります。
ホームユーステストの種類・やり方
ここで商品の提示方法やモニターの評価方法をご紹介します。
ブラインドテスト
ブラインドテストとは、ブランド名を“開示しない”ことです。
用途としては、商品の性能のみによる評価・感想が欲しい場合やブランド名が未定の場合 などです。
特徴としては、ブランド名によるイメージや先入観を取り除き、性能だけに絞ったフラットな評価を得ることが出来ます。
ブランデッドテスト
ブランデッドテストとは、ブランド名を“開示する”ことです。
用途としては、ブランドイメージや先入観があるうえでの評価や感想を得たい場合、ブランドイメージや先入観があることに付随して、ブランドイメージを知りたい場合に使用します。また、ブランドに対する期待値や、期待値に対する今回の評価を相対的に見ることが出来ることが特徴です。
モニターの評価方法に関しては以下の通りです。
モナディックテスト
モナディックテストとは、単一の商品のみを試用し評価すること、絶対評価のことを言います。その商品単独の評価を知りたい場合に使用します。例えば、複数の同じメーカーの商品を一度に購入することは珍しいケースだと思いますが、通常、ユーザーは単一の商品を購入することが一般的なので、実際の購入プロセスに近い状況を再現しやすいことが特徴です。
直接比較法
直接比較法とは、複数の種類の商品を比較することで評価することを言います。用途としては、複数の種類を比較してそれぞれに優劣をつけたい場合に使用します。特徴としては、
先に試用した商品の評価が、後に使用する商品の評価に影響を及ぼしやすいので、その影響を相殺しないといけないということが言えます。
直接評価法は2つに分けることができ、1つ目は、モニターが商品AとBを試用し、いずれも絶対評価をした後に、最後にAとBの比較評価を行います。商品Aを先行するAグループ、商品Bを先行するBグループに分けて、順番による影響を相殺する「シークエンシャルモナディック法」と、モニターが商品AとBを使用し、先に試用したAだけを絶対評価し、のちに試用した商品Bを比較評価するといった、既存商品や競合の商品と比較したい場合などに用いられます。
商品は、ただモニターに送付して試してもらうだけでは、有効なデータを得られないので、商品の提示方法や評価方法は、商品において自社が掲げる課題や、調査の目的に応じて適切に選択してください。
ホームユーステストの費用感
料金体系ですが、企業毎に異なる部分が多いため、見積もりを取ることをお勧めしますが、大体10万円~70万円でした。
謝礼やサンプルサイズなどでも大きく金額が変わってくるので、注意が必要です。
ホームユーステスト実施の際の注意点
対象者によるSNS利用などで調査に関する情報が漏えいする可能性があります。
悪気がなくとも対象者の不注意や、認識のずれによって情報が漏れてしまうこともあり、発売前の製品の情報が漏れてしまうと混乱を招く恐れがあるため十分に注意しましょう。
事前に契約書などを作成したり、情報漏えいにおける注意点を読み合わせるなどして回避することができます。
今回は「ホームユーステスト」についてご紹介させて頂きました。
弊社ではリサーチも行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。