今回は、様々な商品や店舗を簡単に比較検討できるというECの特徴が強く影響がでてしまう量販店ECサイトのリニューアルへの取り組み事例をご紹介します。
直近のEC市場動向は、令和3年度電子商取引に関する市場調査(経済産業省の調査)によると、物販系分野のBtoC-EC市場規模は、前年の12兆2,333億円から1兆532億円増加して、13兆2,865億円となっています。
特に2020年からは、新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、外出自粛など人混みに行くことを避ける動きが広がったことから、ECの利用が急拡大しています。
そうした背景もあり、多くのユーザーがインターネットで検索して、最も安い価格で販売している店舗で購入し、自宅へ配送してもらえるECの方が、近隣の店舗に足を運んで買うよりも利便性が高いと考えるようになりました。
量販店のECサイトもそうした流れに適応できるようなECサイトをめざす取り組みとなります。
EC店舗での接客を強化
まず初めに改善を進めたのが、EC店舗での接客を強化することです。
オンラインでの接客は、店頭以上に重要になります。
お客様が買いたい時に、必要な情報が掲載されていて、すぐにオンラインで相談ができることは、もっとも購買促進につながる機能です。
商品説明や購買の流れの中で必要な情報の掲載を整えると共に、メールやチャットの即時回答に加えて、電話相談窓口への誘導も用意できれば十分な機能となります。
量販店の場合、営業時間中の電話のお問い合わせ窓口は用意していましたので、同等の対応をオンラインでも出来るように整備しました。電話オペレーターが兼務することになり、人的な負担は大きく変わらずに整備することができました。
実店舗で出来るショールーミング対策
次に整えたのが、店舗で商品見てECサイトで購入するための導線を作ることです。
お客様は、ECの利用に慣れてくると、実店舗で商品の現物をチェックし、最終的にECで購入するショールーミングをする方が増えてゆきます。
そうした場合に大切になるのが、他社のECサイトで購入させない導線を整えることです。
一番理想的な機能は、自社会員のポイント連動などそのEC店舗で購入する理由作りですがシステム開発など規模感のある投資が必要になります。
限られた予算で実践する施策として、店頭からQRコード経由でスマートフォン対応のECサイトへ誘導する方法が効果的です。
上記の方法は、POPや告知チラシにQRコードを追加することで実現できるので、比較的ローコストで対応できる対策になります。
また、初めて会員登録をしてECサイトを利用する方向けに、送料無料の割引クーポンを初回特典として配布することで、新規利用者向けの利用促進につなげます。
EC購入商品の店舗受け取りの導入方法
次に整えたのが、EC購入商品の店舗受け取りです。
店頭受け取りは、店頭での体制整備も必要なので、少し実現が難しいサービスとなりますが、ECで購入した商品を店頭で受け取り出来る仕組みを整えることです。
スタートするきっかけとしては、全ての商品の対応をするのではなく、予約販売などからスタートすると導入しやすいと思います。予約販売であれば、受け渡し日の予測も立てやすく、対応アイテム数も限られているので、受注商品を補完管理する体制も整えやすいです。
EC購入商品の店舗受け取りは、お客様にも浸透し始めており、送料負担がない分利用しやすく、好きなタイミングで商品を受け取ることができるなど利点も多くニーズも増え始めています。
また、店舗の集客にもつながるのと、本来は店頭で買い物したいお客様がECや多店舗へ流れる離反防止にもつながります。
地元産の特産品を加えることで差別化を図る
EC店舗の改善を進める上で難しいことは、日本全国で送料を払えば、どこからでも購入できることです。
どこのお店から購入しても、品質が変わらない商品である場合には、価格や送料の優位性、納品までのスピード以外では差別化を図ることが難しいのです。
そうした状況を改善するためには、商品戦略が大切になります。
以前は、EC事業者の個性(顔が見えること)も重要視されていましたが、インターネットで商品を買うことが日常的になってくると、安全により安く、早く届く利便性の方が求めれるようになってきます。
つまり、どこのお店で購入しても変わらない商品では、価格やサービスで優位性の高い大手のECサービスよりも自社が選ばれる理由を作るのが難しくなりました。その状況を改善するためには、事業者の商品やサービスを購入する理由を付加して、伝える必要があります。
もっともわかりやすくいのが、オリジナル商品を準備することで、競合他社との差別化を図ることができますが、ゼロから売れるオリジナル商品を開発することは、困難です。
そうした状況を解決するための方法として、地元産の特産品を加えることで差別化を図ることを目指します。
地元産の特産品を加えることで、商品力がある差別化商品をそろえることができます。
地元産の特産品の中には、EC販売に力を入れていない商品も多いと思います。量販店の場合、地域に店舗がある信頼感を上手く活用して、地元産で人気のある特産品のEC販売をスタートさせることで、競合他社にはない強みを生み出すことができます。
量販店のECサイトリニューアルの取り組み事例まとめ
今回紹介した量販店のECサイトリニューアルの取り組み事例では、EC機能だけではなく店舗のオペレーションなどを含めて対応を進めています。
すぐにできる取り組みを実践することで、確実に毎月数%の売上向上に繋がっています。
上記の様にEC機能だけではなく店舗のオペレーションなどを含めて、できることから整備してゆくことが大切になります。
店舗が存在することは、大きな強みになりますので、店舗がある信頼感と利便性を最大限に活用して、売上向上につなげる方法を検討することが大切になります。