金融系のWEBサイトでの調査結果に基づいたコンテンツ制作と効果測定
最近、コロナ禍の影響もあり、投資や資産形成に関するニュースも増え、人々の関心が高まっていると感じます。そこで今回は金融系WEBサイトでの事例をご紹介します。
クライアントの依頼背景と課題点
まずクライアントからの依頼内容について、本件は既にクライアントが運営する金融サービスのサイトに対して、資産運用を啓発するコンテンツを追加したいという要件でした。
その金融サービスが産まれ、加入者を増やしていく中で初期の段階ではとにかく認知してもらい、加入者を増やしていくことが課題でした。やがてサービスへの加入者が100万人以上になった次の段階としては、加入検討者の加入促進と加入者の資産運用の啓発でした。
資産運用をたくさんしてどんどん儲けましょうという話ではなく、加入検討者が加入を迷う障壁として、「資産運用が難しそう」という気持ちがあり、その壁を取り除くためのコンテンツ、そして加入者に対しては、投資教育、運用理解の促進を図り、スイッチングも含めた選択肢の幅を広げられるようなコンテンツを供給することを求められました。
調査によるターゲットのニーズ調査
作成するコンテンツの目的はわかりました。ターゲットも加入検討者と加入者となりますが、果たしてどのようなコンテンツを提供すれば良いのか、資産運用に対してどのような内容のコンテンツを掲載すれば良いのか、そこを把握するため、作成前にインターネット調査を行いました。
加入検討者及び加入者の属性や資産形成状況、金融リテラシー、情報接点や行動特性などを
調査・分析することで、検討時、加入時の各フェーズにおける最適なコミュニケーション手法を策定していきます。
調査結果で見えてきたもの
公式サイトの資産運用コンテンツ改修にあたって、資産運用における情報ニーズや阻害要因を特定し、具体的な資産運用に係る情報発信の対象者、発信内容、コミュニケーション方法を明らかにすることで、資産運用コンテンツとして追加するべき事項、修正すべき事項を選定していくことが調査の目的となります。
調査手法はWEB調査で全国の男女20代~50代から、本件の金融サービスの加入者および加入検討者を抽出しました。加入検討者は直近2年間で検討したことがある人、全体のサンプル数としては1,000サンプルとなりました。
ここでは全てを記載できませんが、調査項目としては以下のような内容を聴取しました。
1.資産運用のイメージ
2.資産運用未実施の理由
3.資産運用に関する知識の認知・理解
4.資産運用に関する知識の理解を妨げる要因
5.資産運用に関する知識の伝え方・提供方法
調査結果として、まず「資産運用のイメージ」については、「将来のために必要なこと」 が最も多く47.3 %、次いで 「知識がない人は損をする」が44.9 %、 「やっておいた方がよいこと」が41.5 %と続いていました。
この設問の回答からは、「将来のためにやっておいた方がよい」という認識はあるが、知識を必要とし、知識がないとリスクを伴うもの であると思われていることがうかがえます。
続いて「資産運用未実施の理由」では、「どんな商品を選べばいいのかわからない」 が 44.9 %と最も多く、次いで 「知識がない」が41.6 %、「運用にまわせるほどの資金がない」が36.0 %、 「失敗するリスクが高そう」、「難しそう・敷居が高そう」 が 32.6 %と多い結果となりました。
この調査結果からは、商品の選び方や資産運用のリスクの考え方、必要資金の考え方などの知識を与えることで、リスクに対する不安や難しそうという心理的障壁が取り除かれ、実施につながる可能性が考えられます。
3つ目の「資産運用に関する知識の認知・理解」では、「資産運用」に関する各知識の認知(「知っている」「知っているような気がする」の合計)で見ると、全体的に認知は高い結果となりましたが、「資産運用のリスクについて」が最も認知が高く、次いで「リスクとリターンの関係性」となっており、リスクに関する内容については認知が高い傾向でした。
また、「分散投資・長期・積み立て運用の考え方・効果」「金融商品の仕組みや特徴」についても認知は高くなっていました。
4つ目の「資産運用に関する知識の理解を妨げる要因」では、理解できない・難しいと感じる要因として、「用語が難しい」が39.3%と最も多く、「文章だけだとイメージがしづらい」が33.5%、「内容が難しく読みづらい」が32.8%、「何から情報収集すればいいかわからない」が32.5%、「自分に合った情報がなにかわからない」が32.0%と続いていました。
この結果から、「資産運用」特有のワードなどが多く存在するため、用語や内容の難しさから理解が進まない状況が伺えました。
また、自身がどの内容から情報収集をすればいいかなどがわからず、情報を探しづらいという現状も感じられます。
最後に「資産運用に関する知識の伝え方・提供方法」では、「資産運用」に関する知識・内容の読みやすい/理解しやすい提供方法について聴取しました。
「図やイラストを使用して説明がされている」が58.7%で最も多く要望されていて、次いで、「動画・アニメーションによる説明」が39.8%、「要約がわかりやすくまとまっている」が39.2%、「資産運用のシミュレーションができる」が36.1%、「専門用語の解説が適宜記載されている」が35.8%と上位を占めました。
「漫画などのストーリー仕立てになっている」や「具体的な事例が書かれている」の他、ライフステージや年代別のメリット説明なども読みやすさ、理解を助ける要素に挙げられると考えられます。
このような調査結果から本件の金融サービスの検討者の加入に向けた情報ニーズとしては、以下の4つのポイントにまとめられ、このポイントに基づいてコンテンツ制作を進めました。
・他の金融商品との比較/運用商品の選び方
・資産運用の必要性
・始めるタイミングによる違い/長期・積立運用のメリット
・リスクに対する考え方/リスクの避け方
また、加入者については「本金融サービスの運用を見直ししない理由」や「運用見直しのきっかけになる情報」について聴取し、見直しにつながりそうなポイントとして以下の4つのポイントにまとめられました。
・商品ごとの特性や具体的な運用イメージに関する知識の提供
・リスクを恐れている人への安心要素を提供
・より資産を増やしていくための知識・具体的な方法の提供
・運用見直しの必要性・タイミング・考慮するポイントなどの説明
これらの調査結果に基づいて、実際にコンテンツ制作を進めました。
コンテンツ制作後の効果測定
前述したような調査結果から制作したコンテンツについて、クライアントからはコンテンツの効果測定として、ユーザー評価を行うことも要望を受けておりました。
そこで弊社では制作したコンテンツの各テーマごとにユーザーの評価をNPS(ネットプロモーター)で計測しました。
ECサイトではNPSを計測することはよくあるのですが、Webサイトの1コンテンツページについてNPSを計測することはあまりなく特殊な例になります。
NPSのスコアとしては、-11.2%と推奨度は高く、9点/10点をつけている割合が25%に上るのはファン層が多いといえます。
NPSに影響を最も与えていたのは、「サイト全体の見やすさ」。
推奨度を最も引き下げており、改善効果が見込めるのは「「よくあるご質問」のわかりやすさ」と考えられます。
NPS調査で見えた課題と改善ポイントは以下の通りです。
1.サイト全体の見やすさ
→レイアウトの工夫
2.「よくあるご質問」のわかりやすさ」
→内容を正確に、わかりやすく記載/「よくあるご質問」の場所をわかりやすくする
3.商品に関する情報の充実度
→商品説明をよりわかりやすく記載/興味をひくものに変えていく/パッケージ画像の工夫
4.「マイページ」の使いやすさ
→会員情報など情報の確認・変更のしやすさを工夫
このように今回は、事前の調査と調査結果に基づいたコンテンツ制作、さらにその後の効果測定を行った事例をご紹介しました。
効果測定はさておき、調査と調査に基づいたコンテンツやサイト制作にご興味を持って頂けましたら、ぜひお問い合わせください!他の事例についてもご説明させていただきます!