飲料メーカー(缶コーヒー)のプロモーション企画の事例紹介
デジタルマーケティングカンパニー・オノフの編集長のためごろうです。
今回は、飲料メーカー(缶コーヒー)のプロモーション企画の事例を紹介したいと思います。
事例として、メーカー名や銘柄をご紹介することが出来ないので、企画を考えるプロセスを解説することで、マーケティングリーサーチを基に、分析結果を仮説検証した上で得られた顧客理解をどのように活かして、企画をプランニングするかを紹介したいと思います。
テーマは、缶コーヒーのプロモーション企画です。
マイボイスコム株式会社が2021年3月に実施した『缶コーヒーの利用に関するアンケート調査(第12回)』によると、缶コーヒーを良く飲むのは、40~50代の男性との調査結果が出ています。(2003年からの推移をみると、この20年間で缶コーヒーを飲む人が減少傾向にあることも興味深い。)
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=27201
●回答者数 10,020名
●調査方法 インターネット調査(ネットリサーチ)
●調査時期 2021年03月01日~03月05日
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=27201
上記を前提として、缶コーヒーのプロモーション企画の考え方を整理してみたいと思います。
缶コーヒーを飲む40~50代男性の興味を惹くもの
第一に調査する必要があることは、対象となる顧客が興味を持つものを探し出すことです。
プロモーション企画で最も大切なことは、注目してもらうことですが、私たちが生活する日常はニュースやSNSなど多くのメッセージで溢れており、多忙な毎日を過ごしている40~50代男性の注目を引き付けるためには、どうしたら良いでしょうか?
多くのメッセージの中でも埋もれないインパクトがある伝え方が必要になります。
では、缶コーヒーを飲む40~50代男性の興味を惹くものは、何でしょうか?
40~50代男性の人生に大きな影響を与えた出来事ついて考えてみると、大人になるまでの多感な期間に、3つの大きなムーブメントを駆け抜けてきたことに気がつきます。
(1)1983年7月15日に、任天堂より家庭用ゲーム機ファミリーコンピュータ(通称:ファミコン)が発売された。
(2)集英社のマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』は、創刊時の発行部数は10万5000部であったと言われているが、1980年代には少年週刊誌でトップの300万部まで発行部数を伸ばし、全盛期の1995年に653万部まで数字を伸ばした。
(3)1990年代から2000年初頭に定着したのが雑誌のグラビアページを華やかにするグラビアアイドルで、雛形あきこさん、細川ふみえさん、小池栄子さんなどが活躍した。
上記の出来事を踏まえ40~50代男性の興味を惹くものをまとめると、「ゲーム」・「マンガ」・「グラビア」の3つのキーワードが重要であると言えます。
缶コーヒーのプロモーション企画の成功事例
まず初めに、過去の缶コーヒーのプロモーション企画で人気のあった成功事例を調べてみます。
印象深く、売り上げに大きく貢献した事例として思い浮かぶのが、、1997年公開のエヴァンゲリオンの劇場版『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air/まごころを、君に』で実施された、UCC上島珈琲のミルクコーヒーとエヴァンゲリオンのコラボ缶です。
アニメ(マンガ)と缶コーヒーの組み合わせは、1997年当時の缶コーヒーのロイヤルユーザーであった20代後半以上の男性にぴったりのプロモーション企画でした。
次に印象に残るプロモーションが、1994年から1999年に放映されたCM「ジョージア」やすらぎキャンペーンです。缶コーヒーを飲む世代の男性に、強烈なインパクトを残した映像でした。
CMに出演した飯島直子さんは、「癒し系」として男性からの圧倒的支持を集めました。
共にやすらぎを連想させるグラビアアイドルと缶コーヒーの組み合わせは、王道の組み合わせだと言えるのではないでしょうか。
また、ゲームとのコラボーションで話題となったのは、 2009年3月に実施された多人数参加型オンラインロールプレイングゲームRED STONE(レッドストーン)とのコラボ企画の「ワンダを飲んでアイテムをGETキャンペーン」です。
缶コーヒーを飲む男性世代とゲームとの相性がとても良いことが証明された企画だと言えます。
飲料メーカー(缶コーヒー)のプロモーション企画の検討プロセス
上記の背景から、飲料メーカー(缶コーヒー)のプロモーション企画の検討プロセスをまとめてみたいと思います。
上記の「ゲーム」・「マンガ」・「グラビア」の3つのキーワードに、もう一つの要素を組み合わせ新たな企画を考えることを検討してみます。
上記の3つのキーワードを元に40~50代男性の心に刺さる要素を洗い出してみます。
着眼点は「ノスタルジー」、過ぎ去った時代を懐かしむ気持ちを掘り起こしてみることを試みてみたいと思います。
一つ目の要素ファミコン(家庭用ゲーム機)がヒットした背景には、1978年に登場したインベーダーゲームの大ヒットから生まれたゲームセンターの流行があったと思います。当時の小学生が足を運ぶには敷居の高かったゲームセンターにあったテレビゲームという憧れの娯楽を家庭で手軽に楽しめるようにファミコンは変えてくれたのです。
上記に、もう一つの要素としてマンガを掛け合わせると、当時、小学生の間でヒットした「ゲームセンターあらし」というマンガがあることがわかりました。
この二つの要素を組み合わせてみると、40~50代男性にとってアーケードゲーム(ゲームセンターにある業務用ゲーム機)は、憧れの存在で強く印象に残っているキーワードになることに気づきます。
こうして、アーケードゲームをテーマに、プロモーション企画を検討することに至りました。
具体的なプロモーション企画までは紹介できませんが、アーケードゲームと缶コーヒーのコラボレーションが生まれた背景には、こうしたプロセスが存在しています。