【ロイヤルカスタマー戦略】育成の方法を設計するための調査事例をご紹介。 食品メーカーのインタビュー事例を分析
POSデータでは分からない購入している理由
みなさんは数ある競合商品がある中で、これしか買わないというものはありますか?
ビール、お菓子、シャンプーのような消耗品…などなど、物が溢れる世の中において、
選んでそれしか買わないというのはよっぽどの理由があるのだと思います。
もし、みなさんがこれしか買わないという物があるとしたら、
絶対に何らかしらの理由があって買っているはずです。
今回の調査は、その理由を明らかにするのが目的です。
メーカーはPOSデータで、売り上げの数字は把握していますが、
購入している理由までは把握することはできません。
そこで実際に購入しているユーザーに、インタビューをして、買っている理由を明らかにします。
そして、何がきっかけに、どこに価値を感じているのかを深堀して、
今後の拡大策の足掛かりとするというのが一番の目的です。
では実際にどんな調査をしたのかを、可能な範囲でご紹介していきます。
クライアントの調査背景・要件
今回、クライアントから要望が出た要件は以下のようになります。
最初はもっとふんわりしている事が多いですが、打合せを重ねることで、
調査の目的を明確にしていきます。
調査概要
■クライアント
大手食品メーカ様
■対象商品
ヨーグルト
■これまでの調査で分かっていること
・本商品に価値を感じる人は自然志向の傾向がある、
(玄米、甘酒、豆乳などを好み、食で体を健康に保ちたいという意識が強い)
・本商品を購入する人の大半は、毎日ではなく「気分を変えるために」
時々買うという位置づけの方がほとんど。
⇒ なぜそうなっているのか、障壁が何なのか?それがわからないため追求したい。
■調査目的
1)本商品の購入・食状況、買い続ける理由、感じている価値を明らかにする
2)食生活の変遷~今の食生活スタイルに至った経緯、節目となった出来事の関係も聴取する
■調査対象者
20代以上のユーザー各3名
*本ヨーグルトをメインで購入している方(できればそれしか買わない人)
*本ヨーグルトと競合のヨーグルトを併用で購入している方
■補足
POSデータから本商品は50代以上の女性の購入が多いことがわかっているが、
40代以下の方や男性の方で、熱烈に支持してくれている人が、
もしいるのなら情報が欲しいいうことで、対象者の年代は広めに設定。
ロイヤルユーザー(調査対象者)の抽出
調査の流れとしては、まず最初に条件に合う人がどれくらい居るのかを調べます。
ヨーグルトのような競合商品が多い場合、”これしか食べない”というのは、
出現率が低いことが想定されました。
しかし、実際に出現率調査をしてみると、これだけの人数が出現しました。
今回は首都圏での拡販が目的のため、東京だけで調査を行う予定でしたが、
関西圏でも出現したため、大阪でもインタビュー調査を実施しています。
🔳スクリーニング結果
条件完全一致者(本商品のみ喫食) 6名
(内訳)
首都圏 | 2名 |
大阪府 | 1名 |
和歌山県 | 2名 |
その他の都道府県 | 2名 |
緩和条件合致者 ー本商品利用&他商品併用者ー 19名(うち20代~40代:11名)
(内訳)
首都圏 | 6名 |
大阪府 | 5名 |
インタビュー調査の種類
ここで、インタビュー調査の種類についてお話したいと思います。
インタビュー調査には大きく二つあります。
グループでやるグループインタビューと、1対1で行うデプスインタビュー場合です。
どっちが優れているというわけではなく、調査の目的に応じて選んでいきます。
違いを簡単にまとめましたので、以下をご確認ください。
グループインタビュー | デプスインタビュー | |
調査目的 | 商品に対するユーザーの様々な反応 や多くの意見が知りたい場合 | ペルソナ作成やライフスタイルの 購買動機、購買家庭の深層意識を 理解したい場合 |
メリット | 多くの対象者から多様な意見を効率的に 収集できる | 周りにか聞かせるべきではない情報 (収入や生理用品、疾患)についての 深堀が出来る。 |
デプスとは英語でDepthで、その人のことを深く知るという意味があります。
今回はロイヤルユーザーの意見を深堀をするのが目的のため、
デプスインタビューを実施しました。
デプスインタビュー実施
対象を確保し、日程が決まったら、いよいよインタビューを実施します。
インタビューで何を聞くべきかは、とても重要です。
モデレーター(司会者)を中心にクライアントと内容を詰めていきます。
結果として、インタビュー項目は以下で決まりました。
- プロファイル
- ヨーグルトの喫食状況
- 本商品しか買わない理由(併用している理由)
- 本商品の評価
- 本商品を一言でいうなら
- 本商品の改善点
プロファイルは、当商品のヘビーユーザーの共通点を探るためヒアリング、
一言でいうならは、今後のプロモーションのキャッチコピーとして使用するためにヒアリング致しました。
改善点は、併用ユーザーならともかく、これしか買わないヘビーユーザーに聞くのは矛盾するように思えます。しかし、愛があるからこその辛辣な意見を言ってくれることも多いです。
調査結果の活用方法
結論としては、競合に比べて「酸味が少ないので美味しい」という味に対しての意見
「このヨーグルトを食べると体調がよくなる」という健康面の2つのインサイトが得られました。
このインサイトを生かしたプロモーション方針を打ち出すことが決まりました。
「酸味がないこと」、またこのヨーグルトに使われている「菌」をもっと前面に打ち出す訴求をしたクリエティブを制作し、プロモーションを実施致しました。
さらに、この結果から発見した自社の強みを生かし、新しいシリーズが開発されました。
最後に
調査の内容、調査を生かしたプロモーションに関する事例はいかがでしたか。
どうしても、ここでは書けない事も多いため、核となる部分に触れらないのが心苦しいですが、
もっと詳しくこの事例を聞きたい、もしくは同じようなロイヤルユーザー調査をしてみたい!
など少しでもご興味ございましたら、お気軽にご相談ください。お待ちしております。