【セミナーレポート】顧客体験価値創造 ブランドエンゲージメントを強化するシナリオ作り
この記事は2021年4月7日に開催したオンラインセミナー「顧客体験価値創造 ブランドエンゲージメントを強化するシナリオ作り」の内容をもとに作成しています。
コロナ禍によって、人々のライフスタイルが激変したことで、これまでの顧客との接し方にも大きな変化が求められている現在、そのコミュニケーションをどう設計するべきなのか?
顧客エンゲージメント作り(CX設計)という課題について、何から始めるべきかの判断に迫られているなか、デジタルマーケティングの第一人者であるレジェンド・パートナーズの海老根会長と、通販業界を中心にダイレクトマーケテイングの第一人者として取り組んできた有限会社リンデンの中村社長にご参加いただき、弊社代表取締役社長の安宅を交え、緊急セッションを開催。
コロナ禍で業績を伸ばす通販ビジネスのノウハウ
テレビショッピングで短期間に100億円を売り上げた実績を数多く持つ中村社長。
そのノウハウとコロナ禍でダイレクトマーケティングの必勝法を語ってくれました。
オールドメディアとオウンドメディアの活用
私は主にテレビショッピングの活用で数々のダイレクトマーケティングを0から組み立てて売るビジネスを作り上げてきました。
ダイレクトマーケティングは、出来れるだけ少ないコストで多くの利益を出すことを考えます。今でこそ当たり前だがいかに効率的に新規を獲得して、その顧客をロイヤルユーザー化していくか。
この仕組みを25年前くらいから意識して、クライアントを支援してきました。実績が出た要因かと思います。
色んな商品を用いて通販ビジネスを行っていた中で、少なからずどうやったら物が売れていくか考えて行くと、3つのポイントが大切だと考えます。
通販での成功に不可欠な要素
効果的+安全だけでは勝ち抜けない=正しいポジショニング
→カテゴライズ=ユニークなターゲット
インパクトのあるブランドかつ新しい機能が必要
→ブランドネーム、独自機能、新たな視点
新しいDBをこれまでにない形で獲得する
新規顧客の獲得+CRM
特徴的な成分やコンセプトなど、訴求ポイントを明確にし、正しいポジショニングで勝ちに行くこと。またブランドを確立するために何か顧客との約束をすることが求められます。例えばニキビに効く化粧品であれば、”ニキビがなくなる化粧品”ではなく、”ニキビのない生活が送れます”といった約束をしてあげることで、顧客からの信頼と継続購入につながります。
ー成功する商品開発に必要なことは、ブランディング×セールスの両立ー
ブランドとセールスの両立は、”お客様との約束”が求められます。
前回(第一回セミナー)でも黒川社長からお話があったように、効果を実感してもらうことをお客様との約束として、従業員にもその方向に向かわせる。それこそがブランドを作り上げ、成功させる要因となると考えます。
やはりお客様に喜んでもらえる商品こそが一番であり、データベースを使ってロイヤルカスタマーを作り上げることが大切だと言えます。
そして近年テーマとなっているCRMを正しく行っていくことが求められます。
20年くらい前には1回売って終わりのビジネスが多かったが、最近だと定期購入に繋げるようなサブスクモデルやマネーバックギャランティ(代金の一部を現金で還元)などまずはお試しをさせて、その後の利用に繋げるようなことが求められる。正しく顧客のデータを取り継続購入に活用することが大切であると考えています。
コロナ禍でダイレクトマーケティングビジネスに参入する際に必要なこと
ちなみにテレビショッピングにこれから参入したいけど、実際いくらくらいの費用で効果が出ると思いますか?
コロナ禍での直近の実績だと、”ダチョウの抗体”を成分として配合したスプレー番の販売を行ったのですが、その時の番組制作費は50万円くらいでした。
元々あった素材で動画を作ったり、テレビショッピングでの情報発信は最低限にして、テレビショッピング内では効果には触れずに他のPR番組で拡散を狙っていくなど戦略的に行いました。PRの面でも、薬事法でテレビやネットで言えないことはPRTimesのプレスリリースの活用や顧客の口コミをPRに出すなど実施しました。
また値段の設定も他の雑貨屋や化粧品との差別化も図りながら、オリジナリティを持たせるなど工夫を行いました。
商品は安ければ良いというものでもないんですかね。
そうですね。商品力には価格も重要で、良いと思ってもらえる、効き目がありそうな値段設定にするなど工夫が必要だと思います。一概にも安くすれば売れるというものでもないですね。戦略的な価格と商品の力が重要です。
それと最終的にはテレビやネット、店舗など、販売チャネルと売場ごとの接客(コミュニーケーション)を上手く取っていく必要があります。
★重要なポイント:顧客とのコミュニーケーションは商品開発から接客まで設計する
・売れる商品(商品力+価格)→顧客第一の商品開発
・売れる店作り(売り場+ )→売り方の効率分析
・売れる接客 (コミュニケーション)→コンシェルジェ対応
通販成功の鍵とは?
僕が考えるに大きく3つの点が重要だと感じています。
★重要なポイント:通販は成功するまで失敗する
・失敗を分析する。
・勘に頼らない。
・過去の成功に囚われない
価格に関しても、小さなテストマーケティングはインターネットでもできるはずなので、例えば3,800円で売ってみて、売れなければ上げてみるか下げてみるなど、テストをしながら売っていく。値段の決め打ちをせず、過去の実例にも囚われすぎずにいろんな確度で売れなければ変えてみる工夫が必要です。
当然値段が上がれば売れなくなると言うわけでもない、高くなれば価値を感じて買ってもらえることもある。
今の通販の環境下でいうとオールドメディアと呼ばれるテレビ・新聞・雑誌が少しづつ力を失っているので、インターネットの世界へ行ってほしいと感じています。
ただ、コロナ禍でネット通販へ進出した際、ぜひ顧客データを取ることを意識してほしい。
Amazonや楽天に出品することで確かに多くの人に売れるんですが、データはすべてAmazon、楽天へいってしまう。
いかに自分たちでデータをためて、顧客へのコミュニケーションに活用するかを意識してビジネスを初めてほしい。
その上で一度買ってくれた後のユーザーロイヤルカスタマー化に繋げることを意識することが今後の成功するビジネスに不可欠であると言えるでしょう。
登壇者プロフィール
株式会社レジェンド・パートナーズ 取締役会長 海老根 智仁
1991年、大広に入社。その後、社会経済生産性本部(現在の日本生産性本部)にて経営コンサルタントとしてキャリアを積み、1999年、株式会社オプトに創業者の一人として合流。2001年同社代表取締役COO就任。2006年、同社代表取締役CEO就任。2008年、代表取締役社長CEO就任。2009年、同社取締役会長就任。
現在は退任し、様々なベンチャー企業への投資や経営に携わっている。
有限会社リンデン 取締役社長 中村 恭平
1991年、大広に入社。その後、株式会社トライステージを設立し2年5ヶ月で上場。
同社代表取締役社長を退任後、2011年に日本サッカー協会にてフットサルを普及。
自らがインストラクターとなり、日本のフットサル指導者養成の礎を築いた。
2015年に有限会社リンデンを設立。現在はダイレクトマーケティングの第一人者として活動し、数々のヒット商品を手掛ける支援を行っている。
株式会社オノフ 代表取締役 安宅 正晴
2000年にWEB制作会社を創業し、企業のキャンペーンサイト制作をメインに多数手がける。2014年には伊藤忠食品のファンコミュニティ「みんなのプロジェクト」の営業譲渡を受け、リサーチ事業を展開。それにより、マーケティングに基づくクリエイティブや戦略を打ち出し、事業を拡大させる。現在は市場の変化にあわせ、リード型広告の制作運用から、商品・サービス購入後の顧客体験価値(CX)の設計運用へと事業を転換。アフターコロナにおいてのコニュニケーションのあり方を見つめ直し、アナログとデジタル双方向でのアプローチを展開する。