ゲーム業界に求められるCRM・顧客体験とは?
こんにちは、ミレニアル世代をちょっと過ぎてるミチシタです。先日、駅で高校生がドット絵でアイコンを描いてNFTで売る話を普通にしていて、「今の子のアルバイトもすでにDX化している?これがZ世代!?」と思った今日この頃です。
さて、今回はゲーム業界に求められるCRM・顧客体験について色々考えていきましょう。
ゲーム業界の市場規模と取り巻く環境
まずはゲーム業界の市場規模を知っておきましょう。
角川アスキー総合研究所の国内外ゲーム業界のデータ年鑑『ファミ通ゲーム白書2021』によると、2020年の世界のゲームコンテンツ市場は、前年比31.6%増となる20兆6417億円となります。
世界でもっとも大きな市場規模はアジアで、東南アジアやインドの市場への急速な浸透も加わり前年比で約20%拡大しました。特に北米ではPCゲーム市場が家庭用ゲーム市場を上回る成長率を記録し、トータルで増加となったとのことです。
国内市場はというと、ゲームハードとオンラインを含むソフトとの合計となる2020年の市場規模が2兆円の大台を突破しました。その中でもスマートデバイスやPCなどオンラインプラットフォームの大半を占めるゲームアプリ市場は1兆3164億円と前年比で8.4%の増加となりました。
このように家庭用ゲームソフトの伸長もありますが、オンライン市場の上昇ぶりが目を引く結果となりました。コロナ禍の巣ごもり需要もあり、国内のゲーム人口は5,273万人となり、それぞれのカテゴリーのゲーム人口として、家庭用ゲームユーザーが2,707万人、PCゲームユーザーが1,527万人、スマホアプリゲームユーザーが3,976万人となります。(※同『ファミ通ゲーム白書2021』調べ)
カテゴリー別で見ると総じて増加傾向となりますが、特に家庭用が3割近い増加となり、家庭用ゲーム機保有状況はNintendo Switchの独り勝ちのような状態で、前年比約137.2%とという著しい伸長が続いています。
ハイエンドなゲームを求めるユーザーには、PlayStation5(以下PS5)も現在は供給が不足している状態も続いているため、今後供給が安定してくると伸びてくると思われますがそれまではPCゲーム市場に流れてしまう可能性もあります。
いずれのプラットフォームにもユーザー向けのアカウントサービスがあり、有料の会員サービスもあります。任天堂のニンテンドースイッチであれば、ニンテンドースイッチオンライン、SONYのプレイステーションであれば、プレイステーションネットワーク、マイクロソフトのXboxはXbox Game Passです。
昔はソフトを売ることで各社は収益を得ていましたが、現在はアイテムやコンテンツ課金の他、こういったオンラインサービスでの収益が非常に重要になってきています。
会員になると主にどういったサービスを受けられるかというと、オンラインでのマルチプレイヤーでのゲームプレイができるようになるのが基本の機能となり、その他には通常販売されているゲームソフトのフリープレイ(会員になっている期間はプレイ可能)や課金アイテムの配布などがあります。
会員サービスの料金は各社異なりますが、月額で千円前後、年額で支払うと5千円〜1万円程度となります。
ゲームソフトの収益以外にも安定した収益を得られるため、本サービスの契約者数が重要です。最近のニュースですと英国の行政機関の調査によって、サービスの自動契約更新について指導があり、SONYはアクティブじゃないユーザーへの解約方法を案内し、そのまま休眠状態の場合は支払いを停止する処置を取ると発表しました。
任天堂も自動更新をデフォルトでOFFにすることも発表し、マイクロソフトも概ねSONYと同じような対応を行うようです。
このようにアクティブな会員を増やす努力が必要となるわけですが、アクティブユーザーを増やすためにはどのような施策が必要になるのでしょうか?
アクティブユーザーを増やす為のマーケティング施策
ゲームを取り巻く環境やゲームを楽しむユーザーのプレイ環境が変化する中、ユーザーのリテンション(既存顧客維持)を上げるために、CRM活動が重要になってきています。
前述したゲームの環境の変化により、ゲームプラットフォームがオンライン化されたことで、これまで取得できなかったユーザーのデータが得ることができ、ゲームプラットフォームでユーザーとのコミュニケーションが可能になったことで、ユーザーに対するマーケティングやデータの活用、PDCAが大きく変化してきているといえるでしょう。
ゲームソフトを遊び終わったユーザーは、次にプレイする興味のあるソフトが見つからない、出会えない場合、非アクティブになってしまいます。そのため、各社のプラットフォーム内でのニュースやメールマガジン、YOUTUBEにアップされたゲーム紹介動画など、顧客の趣味嗜好に合ったゲームソフトを提案しています。
プレイしたゲームに基づくシリーズ作品や同ジャンルの別タイトルをレコメンドしたり、セールも頻繁に行っており、有料会員になっていることで割引率が高まる特典もあります。
有料会員の特典を魅力的なものにし、優遇することでエンゲージメントを高め、リテンションを上げるといった、MAU(月間アクティブユーザー)を増やすためのマーケティングやPDCAが重要になっています。
それでは直接的なサービス内容ではなく、カスタマーサポートの面ではどういった事例があるのでしょうか。
ゲームのカスタマーサポート事例
ゲームにおけるカスタマーサポートについては、ゲームの世界観を崩さずにサポートすることが大切です。ゲームから一旦離れて問い合わせが始まると、せっかくゲームの世界に夢中になっていたのに台無しになってしまうからです。
もし顧客(プレイヤー)がゲームのプレイ中に問い合わせをしなければならなくなった場合、サポート体験もゲーム体験の一部になると考えられます。
ひとつの例として、『Angry Birds』を制作するメキシコのスタジオRovioでは、プレイヤーがモバイルゲームをしながらオンラインヘルプを探すのは非常に難しいことであることに気づきました。彼らは解決策として、カスタマーサービスソリューション「Zendesk」のモバイルSDKを使用して、ゲームの中でサポートを提供することにしました。
サポート画面をゲーム内のインターフェースと統一することで、同一の環境下にあるかのように見せることで、世界観を崩すことなくサポートを提供できる形を取りました。
このようにゲームサポート1つとっても非常にユーザーに寄り添った対応を行っています。
現在でもオンラインのプラットフォームは当たり前の存在になってきていますが、今後5G通信が普及してくるとまたゲームを取り巻く環境は変わることでしょう。
ゲーム業界の今後の展望 5Gで変わる世界
現在主流の4Gの通信回線が5G(第五世代移動通信システム)になると高速通信や低遅延の通信により、より安定したオンラインゲームプレイ体験を味わえるだけでなく、クラウドゲーミングやSNSの次と言われるメタバース市場もより活性化し、ユーザーに定着するようになるでしょう(個人的にはTwitterを買収したイーロン・マスクの動向が気になります)。
そうなると、また新たなリテンション獲得やCRM(顧客関係管理)によるユーザーサポート、ユーザー体験への寄り添いが必要になると考えられます。
ユーザーを取り巻くゲーム環境はまだまだ進化します。そこから生まれるまた新たな顧客体験に求められるCRMも進化していくことでしょう。