VOC(Voice of Customer)とは何か?その重要性と効果的な活用について
デジタルマーケティングカンパニー・オノフのmiyamotoです。
企業や商品・サービスが成功するためには、顧客の声を正確に理解し、それをビジネス戦略に反映させることが不可欠です。
今回は、そのための重要な手法であるVOC(Voice of Customer)分析について、当社事例を交えて解説いたします。
VOC(Voice of Customer)とは何か?
VOC(Voice of Customer)とは、マーケティング用語で「顧客の声」を意味し、顧客のニーズや意見を収集・分析して、商品やサービスの改善、新商品開発、マーケティング施策などに活用する手法です。
VOCの概念は、特定の一人が提唱したものではなく、マーケティングや品質管理の分野で徐々に発展してきたものです。特に、1980年代から1990年代にかけて、顧客満足度を重視する動きが強まり、VOCの重要性が広く認識されるようになりました。
この概念を体系的に取り入れたのは、品質管理の分野で高名なW・エドワーズ・デミング(「デミングサイクル」や「デミング賞」で著名)やジョセフ・M・ジュラン(「パレート原則」で著名)らの専門家たちです。彼らは、顧客の声を企業の品質改善や製品開発に反映させることの重要性を強調しました。
VOCにはさまざまなチャネルで収集され、これらのVOCを分析することで、顧客のニーズや不満点を明確にし、顧客にとってより価値のある商品やサービスの提供に役立てることができます。
VOCにおける顧客( Customer)の定義は次の4つに分類されます。
既存顧客:すでに商品やサービスを購入・利用している顧客
潜在顧客:まだ購入・利用していないが、将来的に顧客になる可能性がある人々
過去顧客:以前に商品やサービスを購入・利用したが、現在は利用していない顧客
内部顧客:企業内部の従業員や部門が他の部門から提供されるサービスやサポートを受ける場合の顧客
VOC分析を行うメリット
VOC分析を行うことは企業にとって非常に重要です。主なメリットをご紹介します。
顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上
顧客の不満点やニーズを反映した改善を行うこと、また顧客の満足点や評価ポイントを把握・理解することで、顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上が見込まれます。
このことにより顧客離れ防止、リピート率向上、LTVの向上だけでなく、ポジティブな口コミの拡散によって新たな顧客の獲得など多くのメリットを期待できます。
商品・サービスの改善や開発のアイデア源
顧客の本音や潜在的ニーズを把握・理解することで顧客が本当に求めている製品やサービスは何かを知り、既存の商品・サービスの改善や新商品・サービスの開発に活かすことができます。
企業側で想定していなかった不満の声や要望を獲得することで、より顧客ニーズにあった商品サービス開発が可能になります。
こちらは後述する当社事例でも顕著な成果が出ています。
マーケティング施策への活用
VOCから顧客のインサイト・行動特性・流行のキーワードを獲得することで、顧客に合わせたマーケティング施策やコミュニケーション戦略に活用することが可能です。
VOC分析を行うことで、「顧客の考え・感覚」とのギャップが明確になります。自社の商品やサービスをどのように見せるか伝えるかを改善する機会になります。
一方、VOCを扱うデメリットとしては、収集と分析に相応のリソースが必要であること、特に大量のデータを扱う場合にはデータマイニングツールなど専用ツールや専門知識が必要です。
また、顧客のフィードバックは主観的なものであり、解釈を誤るリスクがあります。これを防ぐためには、複数の視点からの分析やリサーチ専門家の支援が必要な場合があります。
有効活用のためのプロセス
目的の明確化
どんなデータ分析においても言えることですが、目的が曖昧なままでは、どれだけ有益な情報があったとしても意味のある示唆を見出すことが難しくなります。
例として、上記にある顧客満足度・ロイヤルティの向上、商品サービスの改善、マーケティング戦略の立案などがあります、分析の結果をどのような活動に繋げたいのかをしっかり考える必要があります。
VOCの収集
明確になった目的に対して、どのようなVOCを収集するのか考えます。
後述しますが、VOCには顧客アンケート・インタビューなど様々な種類があります。
例えば「新商品開発のアイデア獲得」と「潜在的なリスクの把握と改善」では収集する情報が変わります。
目的に則して最適な収集方法を検討する必要があります。
VOC分析の実行と示唆出し
VOCが収集できたら分析を実施し、顧客がどのようなニーズや不満を持っているか特定をします。
手法の一つとして、収集データをカテゴリー分類することで、分析効率を高めることができます。
例として、製品やサービスの機能、品質、価格、サポートなどがあり、定量化して把握することが可能になりデータの全体像を理解しやすくなります。
改善実行・PDCA
分析結果を組織内で共有し、関係部署と連携して活用し、実際の改善施策まで繋げることが重要です。
また、実行結果をしっかりPDCAサイクルに乗せることで、恒常的な改善活動を期待することが可能です。
VOC収集方法
前述しましたVOC活用に向けてのプロセスで、特に重要になるものが「収集方法」「分析方法」です。適切な情報収集と分析ができていないと、改善施策の精度が極めて低いものになります。
まずは「収集方法」に関して解説いたします。
収集方法には、主に「直接収集方法」「間接収集方法」があります。
直接収集方法
コールセンターやコンタクトセンター
顧客からの電話やメールを通じて直接フィードバックを収集します。
一般に「コールログ」と言われるものですが、これには顧客から受ける質問、クレーム、フィードバック、など様々な情報が含まれており、顧客の具体的なニーズや問題点を深く理解することができ、これらを適切にピックアップし社内に共有し改善へと繋げることは非常に重要です。
これにより、リアルタイムの改善対応が可能になりますが、大量なデータを扱うことになるので、分析や利用方法などのプロセス整備が必要になります。
顧客インタビュー
顧客と直接対話し、詳細なフィードバックを得る方法です。
インタビューは、顧客に質問を重ねることができるため顧客の深層心理や具体的なニーズを理解することに役立ちます。
座談会などの集団で行うもの、デプスインタビューといわれる1対1で行われるもの等などがあり、顧客の特性や目的に則して方法を選ぶ必要があります。
アンケート調査(オンライン・オフライン)
広範な顧客からの意見を収集するために、アンケートを実施します。オンラインアンケートは迅速かつ効率が高く、オフラインアンケートは特定のターゲット層にアプローチするのに適しています。
間接収集方法
SNSや口コミサイトなどの投稿(ソーシャルリスニング)
SNSの投稿や製品レビューサイトの口コミ投稿も貴重なVOCです。これらのVOCは顧客が自発的に発信したものであり、企業が尋ねたもので鼻いため、より自由でリアルな顧客の本音や率直な感想を収集できるという特徴があります。
ソーシャルリスニングでは自由に述べられた意見が多く集められるため、社内では挙がらないようなアイデアや改善点を見つけやすいです。またキャンペーンやイベントの前後ではそのリアクションを即時に集めることができるという点でも有効な情報源といえます。
商品レビューやフィードバックフォーム
自社のウェブサイトやECサイトでのレビューやフィードバックフォームを通じて、顧客の意見を収集します。これにより、具体的な製品やサービスに対する評価を得ることができます。
VOC分析方法
分析方法には、主に「定量分析」「定性分析」があります。
定量分析
数値化とデータ分析
収集したフィードバックを数値化し、統計的に分析します。これにより、顧客の意見を客観的に評価することができます。
テキストマイニングツールの活用
大量のテキストデータから有用な情報を抽出する場合はテキストマイニングツールを使用することも有効です。これにより、顧客の意見の傾向やパターンを把握することができます。
定性分析
カテゴリー分けとテーマ抽出
顧客のフィードバックをカテゴリー分けし、共通のテーマを抽出します。これにより、顧客のニーズや問題点を明確にすることができます。
顧客のインサイトや行動の深掘り
顧客のフィードバックを詳細に分析し、顧客のインサイトや行動の背景を理解します。これにより、より効果的なマーケティング施策を立案することができます。
VOCの有効活用事例
当社では、VOCの有効活用のためご支援をさせていただいており、多数の成功実績があります。
その事例の一部をご紹介いたします。
事例1:宿泊業事業者様ウェデイングサイトのコンテンツ企画制作・UI改善
結婚を検討している本人(=潜在顧客)と母親の消費者ニーズ把握とCSF(重要成功要因)の発見を目的に調査を実施。
調査結果から訴求ポイントを「会場の雰囲気、立地、料理」に変更し、ウェデイングサイトのUI改善・導線改善を実行しました。
その結果、リニューアル前と比較し問い合わせ件数が4倍以上に向上しました。
事例2:コミュニケーション企業様ハワイ旅行者向けの各種データ収集調査&コンテンツ企画制作
ハワイ渡航者向けの各種データを旅行経験者から収集し、その内容をわかりやすく、インフォグラフィックスを多用してパンフやWebに使用し他社との差別化を図るため、直近1年以内のハワイ旅行者1,000人(=既存顧客・過去顧客)に旅行前・旅行後の印象や内容を聴取。集計・分析・クラスタ分類を実施し、その結果をグラフィカルなデザインに仕上げました。Webサイト内のデザインと企業説明のパンフレットに同時使用され、新規利用者から「見やすかった」「内容がわかりやすくて安心した」など、受容が高まりました。
その他事例やご支援企業様のインタビュー記事は、当社公式サイトの事例紹介ページにてご覧ください。
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