「CRM」とは?注目されている背景・導入方法・メリットを解説
情報収集・分析・共有などをおこなうシステムや、顧客との関係を構築する手法を指す『CRM』。
活用することで戦略的なマーケティング・営業活動を可能にします。
CRMが何なのかは理解しているけど、「具体的な導入がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、CRMの重要性が注目されている背景、導入方法やメリットなどについて解説していきます。
CRMを導入することで、最適な顧客へのアプローチと、売上の向上も期待できるでしょう。
CRMとは?
CRMとは、customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、日本語では、「顧客関係管理」、「顧客関係性マネジメント」と言います。
現状CRMは、「顧客管理システム」や、顧客との関係を構築するための「手法」を指しています。
CRMの目的は、顧客に合った商品やサービスを提供し、長期的に良好な関係を構築してファンになってもらうことです。
そのために、「顧客管理システム」を使って顧客のニーズや属性などを把握・分析し、関係を築いていくプロセスやアプローチの仕方などの「手法」を考えます。
CRM(顧客関係管理)の本質は、「One to Oneマーケティング(顧客一人ひとりに合わせたマーケティング活動)」を実現することです。
CRMの重要性が注目されている背景
人口減少
新規顧客の獲得が困難になった理由の1つ目は、日本の人口が減少しているからです。平成20年(2008年)の1億2808万人をピークに徐々に減少しています。
2024年には3人に一人が65歳以上、2060年には日本の人口は約8674万人になると予想されています。今後も減り続ける人口で新規顧客を奪い合うよりも、同じお客様に長く利用して頂く重要性が高まることでしょう。
情報過多
新規顧客の獲得が困難になった理由の2つ目は、情報量が増え続けているからです。情報量が増えたのは、インターネットの普及が大きいと言われています。
前は、情報源は4大マスメディア(4マス媒体)が主と言われていましたが現在はインターネットが普及し、誰もがSNSで情報の発信者になれます。1年間に流れる量は「世界中の砂浜の砂粒40倍」に相当すると言われており、いかにお客様一人一人にメッセージを伝えるか、工夫がより一層大切になっております。
CPAの上昇
新規顧客の獲得が困難になった理由の3つ目は、顧客・成果を獲得するための一人当たりの費用「CPA(Cost per Action)」が上がったことです。
届けるべき人が減り、情報が増え続けることで、広告費が増大しました。
現在のCPAは、インターネット黎明期(15~20年前)に比べて、10倍以上に膨れ上がったと言われています。加えて、顧客維持単価は新規獲得単価に対しての5分の1と言われております。
新規獲得も大切ではありますが、既存顧客の離脱が多いと、せっかく獲得したコストも無駄になってしまいます。ある程度の拡大のフェーズが終わりましたら、2回目購入の策を検討してみるのも良いでしょう。
顧客ニーズの多様化
生活者は、インターネットの普及で、提供された情報をただ受けるだけではなく、自身の考えで行動を起こすようになりました。マスメディアとの接点が減少してきたことで、広告やCMを見てもらえる機会も少なくなってきています。
生活者の行動や価値観は今後も多様化していきますので、従来のマス広告で一つのメッセージで広く伝えるという方法では、効果が薄くなっております。
CRMツール「顧客管理システム」の機能とは?
CRMの機能の例として、ここではSaaSモデルのバイオニア『Salesforce』を紹介します。多様な機能が用意されているので、あなたの課題に合ったものを利用できます。
「CRM/SFA」「カスタマーサポート」「マーケティング支援」など様々な業務を1つのシステム内で管理することが可能です。
・Sales Cloud(顧客管理・営業)
営業を支援するための機能を備えたクラウド型CRM/SFAです
見込み顧客や商談の管理、営業活動の記録など様々な機能が用意されています。
・Service Cloud(顧客サポート・コールセンター)
コンタクトセンター業務を支援するための機能を備えたクラウド型CRMです。
プラットフォームの各種機能や、ソーシャルメディアとの連携などで業務に合わせた支援をしてくれます。
・Marketing Cloud(B2C向けマーケティング支援)
蓄積された顧客データを活用し、メール、SNS、WEBなど、マルチチャネル・デバイスを通じ、One to Oneマーケティングを実現してくれるプラットフォームです。
CRMのツールには様々なものがございます。Karte、カスタマーリングス、うちでのこづちなど様々なツールがございます。各サービスもそれぞれで、ECで購入した人のリピート購入対策、営業管理としてのツール(SFA)、マーケティングに特化している、名刺で顧客管理など目的によって分類され、それぞれのシステムによってメリットも異なります。
検索精度や使い勝手の悪さから、導入したもののうまく使いこなせないという企業も多いです。定期的なデータクレンジングやメンテナンスも必要で、運用工数もかかります。想定する自社の会員数や想定しているセグメント等の洗い出しも事前に必要となることでしょう。
CRMツールを導入する企業側のメリット
・顧客情報を一か所に集めて管理できる
CRMは、多くの顧客情報を1ヵ所にまとめて、一元管理をすることができます。「それは誰が管理しているんだっけ?」「あの記録どこいった?」と、担当者を決めていると情報はバラバラになりがちです。データを分析したいときやデータを見たいときに、まず、その行方を探さないといけません。
しかし、CRMシステムを導入すれば、全ての情報をひとつに集約できます。
顧客情報を適切に管理することができれば、事業のパフォーマンスを拡大することができます。
アクセスするだけで情報を得られる
部署間で情報を共有するときは、メールやチャットを使うことが多いのではないでしょうか。
CRMシステムを導入すると、アクセスするだけで簡単に閲覧できるようになります。
誰かに共有するという手間がかからないので、スピーディーな対応が可能。
また、クラウド上に、社内外のやり取りや、ナレッジが蓄積されることにより、知財の情報一元化がされます。例えば、施策を練るときや分析をするとき、SNSで情報を発信したいときなど、欲しい情報を素早く得ることができます。無駄な時間が減った分、他の業務に充てられるので、業務の効率化にも効果を発揮してくれます。
顧客のニーズを掴める
顧客が望んでいるのか要望を把握するには、行動を観察し、分析することが大切です。顧客を把握するために、“見える化”できるCRMが一役買ってくれます。動向を分析することができれば、顧客のニーズの掘り起こすことができます。
顧客に、必要としている情報を提供することができるので、「自分のことをわかってくれている」と思ってもらえるでしょう。CRMを活用することで、顧客と継続的な良い関係を構築することができます。
顧客満足度が向上する
前述のように、CRMシステムを導入すると、顧客の嗜好・ニーズに合った商品・サービスを提供できます。以前に比べて、「マスマーケティング」の効果が得られにくくなりました。
そのため、メールやSNSなどで顧客にアプローチする「One to Oneマーケティング」が一般的となっています。One to Oneマーケティングは、顧客ひとりひとりに合わせたマーケティング手法です。個人のニーズに合った提案が可能なので、満足度が高まり、優良顧客が増えていきます。
また顧客は満足度を得るとロイヤル度が急激に上がります。店頭でのサービスが良かったという感動体験や、コールセンターでの的確な対応で分かってくれているという安心感がロイヤルカスタマーへと引き上げます。
CRMツールを導入する顧客側のメリット
必要な情報を入手できる
CRMは、顧客一人ひとりの需要を満たせるシステムと言えます。ありとあらゆるメディアからたくさんの情報が提供されるなかで、生活者は自分で情報を取捨選択しています。そして、多くの人は自分の暮らしに必要な情報・興味がある情報しか見ていないのです。
あなた自身も一人の生活者として、心当たりがありませんか?
自分の欲しい情報を入手できることは、顧客にとっても大きなメリットと言えるのではないでしょうか。また一人ひとりの行動履歴を閲覧することが可能となります。よくクリックされる記事の傾向を見て分析することにより、顧客一人一人が何に興味を持っているか、企業側が把握することが可能となります。それにより、顧客像をより立体的に把握することが可能となり、データの質の向上に一役買うでしょう。
CRMツールを導入するデメリット
CRMツールを導入した場合、当然ツールの導入費、運用費用などが発生します。
近年の傾向としては、運用が上手くいかない・コストが掛かりすぎてしまうなど、運用面での課題が多く見られるようです。顧客の反応を見る為に、どの分野に顧客が興味を持つか分析する為に、コンテンツを豊富にする必要があります。また配信内容を変えてABテストをしたり、運用にも工数がかかります。そして分析する為のデータ集計も場合によっては必要なため、担当者の負担は大きいです。
ただ導入するだけでは、マイナス面が大きくなってしまうでしょう。またもう一つデメリットとしては、成果が出るまでに時間がかかる可能性があることです。
成果を出す為には顧客データの蓄積が必要ですが、顧客のデータが少なければそれだけ分析精度が低くなり、短期的にも長期的にも成果に繋げられません。
CRMツール導入手順
CRMをただ導入するのではなく、目的を明確化するなど事前の準備が大切です。準備を怠ると「せっかく導入したのに活用できていない」と、運用失敗の可能性が高くなります。
CRM運用を安定させるためにも、しっかり手順を踏みましょう。
目的を決める
まず、何を実現したいかの目的や目標を明確にしておきます。目的をはっきりさせずに導入してしまうと、「何か違った」と感じるかもしれません。CRMは、効率化するための“道具”です。
上手く活用するためにも、目的や目標を曖昧にしないようにしましょう。
ツールを決める
目的が決まったら、その目標を実現するためのツールを決めます。例えば、CRMにはカスタマイズが自由にできるオンプレミス型と、月額を支払うことでIDを取得して利用するクラウド型の二種類があります。
まずは、無料トライアルを利用してみるのも良いですね。
CRMには様々な特徴があります。メリットとデメリットを比較し予算を考慮したうえで、どれを使うのが最適なのか検討しましょう。
運用体制・ルールを決める
運用体制やルールについても、あらかじめ決めておくことが大切です。
管理者や責任者、どの部門・部署で管理するのかなど、問題の発生を抑えるためにも、あらかじめ決めておきましょう。
CRM導入後の注意点
CRMツールの運用を安定させるまでには、一定の時間がかかります。売上が向上したり、ファンが増えたり、運営後すぐに結果が出るということは極稀です。
一定のコストや期間を見込んだうえで、導入を検討しましょう。
CRM活用事例
業界ごとのCRM事例を紹介致します。
まとめ
「CRM」について解説してきました。CRMは、多くの顧客情報を一元管理し、いつでもデータを閲覧できるので、業務効率を高めます。また、様々な顧客データを“見える化”できるので、ニーズの掘り起こしや、商品・サービスの改善に役立ってくれます。
他にもたくさんのメリットがある「CRM」。活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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