市場調査は、何人くらいデータを集めれば信頼出来る?リサーチ初心者に分かりやすく解説
初めまして。デジタルマーケティングカンパニー・オノフのすぎやまです。
市場調査を行う際、まず「サンプル」を集める必要があると考えられると思いますが、「一体どれだけ集めれば信頼できるの?」と悩んだことはありませんか?市場調査は、ビジネスの成功に直結する重要なプロセスであり、得られたデータの質が意思決定に大きな影響を及ぼします。そのため、サンプル数の選定は非常に重要です。
今回は、そんな疑問に答えるべく、信頼できるサンプル数について、また信頼性を担保するために必要なサンプル数の決め方について、分かりやすくご紹介します。調査を始める前に、まずはサンプル数が調査結果に与える影響を理解しておくことが重要です。
「サンプル数」と「サンプルサイズ」の違いとは?
まず、「調査」とは、ある事柄を明確にするためにデータを収集し分析することを指します。調査結果に信頼性を持たせるためには、テーマに沿った適切なサンプルを集めることが重要です。ここで重要になるのが「サンプル数」と「サンプルサイズ」の違いです。
例を挙げると、あるメーカーが製品のデータを、1日目に10個、2日目には15個、3日目には20個収集した場合、サンプルサイズは「10」「15」「20」、サンプル数は「3」を指します。つまり、サンプル数はデータの回数や対象の数を示し、サンプルサイズは1回の調査で収集するデータの量を表します。
この違いを理解することは、調査の設計段階で非常に重要です。サンプル数が少なすぎると、得られるデータが偏る可能性があり、結果として不正確な分析につながります。一方で、サンプルサイズが適切に設定されていると、より多くの情報を得ることができ、結果の信頼性が高まります。
調査設計においては、適切なサンプル数とサンプルサイズの設定が結果の信頼性を大きく左右します。また、調査対象やテーマに合わせて過去のリサーチ事例を分析し、使用する調査プラットフォームによってサンプル数とサンプルサイズを効果的に管理することも可能です。
こうしたサンプル数とサンプルサイズの理解は、調査全体の信頼性を高めるうえで重要な要素です。調査結果が正確であることは、ビジネスの戦略や方向性を決定する際に非常に大切ですので、基本的な概念をしっかりと把握しておくことが求められます。
サンプル数の目安は?
では、具体的に信頼できる調査を行うためには、どの程度のサンプル数が必要なのでしょうか。
一般的な目安としては、以下のような設定が推奨されています。
①母集団10,000人以上の場合、サンプル数が400あれば信頼度の高い結果を得られるとされています。
②母集団1,000人程度ならば300、母集団100人程度ならば100が目安となります。
これらの数値は、母集団のサイズが大きいほど必要なサンプル数が増えることを示しています。たとえば、母集団が1,000人の場合は、300人のサンプルを集めることで、95%の信頼度で誤差5%以内の結果を得られる可能性が高まります。
一方、母集団が少ない場合、たとえば10人の集団の場合は、全員に回答してもサンプル数は10となります。このように、母集団の規模に応じたサンプル数を確保することで、調査結果に統計的な信頼性を持たせることができます。
さらに、目的に応じてサンプル数を調整することで、より高精度なデータが得られます。たとえば、初期段階の市場調査では、少ないサンプル数で傾向をつかむことができるかもしれませんが、製品開発やマーケティング戦略を決定する際には、より多くのデータが必要になるでしょう。
信頼度の高いサンプル数について
信頼性の高い調査結果を得るためには、一般的に「許容誤差5%、信頼度95%」という条件が用いられます。
たとえば、100人の回答者のうち70%があるサービスに好意的だと答えた場合、この設定であれば「95回の調査のうち90回以上は65%~75%の範囲に収まる」と解釈できます。
サンプル数の計算式(※1)を使うことで、より詳細な算出が可能ですが、手間がかかるためサンプル数の一覧表(※2)などを用いるのが一般的です。
一般的に信頼度の高いサンプル数と言われている「許容誤差5%、信頼度95%」で考えると、母集団数「100」の場合、80サンプルを集めれば確度の高い結果を得られるということになります。
また、ざっくりとした市場感を知りたい場合には「許容誤差10%、信頼度90%」で100サンプルを集めることで傾向を把握するのに十分とされます。
アンケート調査に必要なサンプル数の計算方法
(出典)https://mirizerocket.com/2020/03/14/number-sample/
サンプル数を算出する際のポイント
サンプル数を算出する際のポイントは、以下の3つです。
以下のポイントを抑える大前提として必要なのは「調査目的の明確化」です。
調査を通して得たい情報が何かによって、サンプル数が異なります。新規事業の市場調査か、既存サービスの概略調査かに応じて最適なサンプル数を決定します。調査の目的が不明確だと、得られるデータも意味のないものになりかねません。
母集団の設定
アンケート調査対象となる集団を「母集団」といい、その母集団に基づいて調査を行います。母集団を明確に設定することで、得られるデータの信頼性が高まり、分析結果が正確に役立つものとなります。
母集団の定義が不十分だと、調査結果が正確でない可能性があるため、調査前に母集団の定義をしっかりと行うことが重要です。
許容誤差と信頼度の設定
調査結果の精度を高めるためには、許容誤差と信頼度の設定が鍵を握ります。
許容誤差とは、調査結果がどれだけ真の値からずれても許されるかを示すものです。一方、信頼度は、収集したデータが確実である確率を示します。(ネットリサーチでは、この誤差5%は、よくあるケースです。)
調査目的に応じて、設定する許容誤差と信頼度は変わります。たとえば、新規事業の場合、許容誤差を5%、信頼度を95%に設定し、より精度の高い情報を取得することが望まれます。
以下に、母集団が10,000人の場合の許容誤差と信頼度の目安を示します。
・精度重視:許容誤差5%、信頼度95%(サンプル数400程度)
・標準調査:許容誤差5~10%、信頼度90~95%(サンプル数70~400程度)
・ざっくりとした調査:許容誤差10~20%、信頼度80~90%(サンプル数10~70程度)
こうした設定により、調査結果を元にした意思決定の際にも、精度と信頼度を確保することができます。
回答率の設定
調査で必要なサンプル数を決める際、回答率も重要な要素です。
回答率とは、対象者が実際に回答する割合で、過去の調査データをもとに設定することが多いです。
新規事業の調査や既存サービスの評価では、目安として70%の回答率を想定して計算することで、必要なサンプル数が決定できます。回答率を把握することで、より精度の高いサンプル数を見積もることが可能です。
弊社オノフでは、リサーチの実績が10年あり、年間で数千件以上の調査を行っております。調査要件の相談にも応じますので、気軽にお声がけください。
よくある質問
- 統計で有意なサンプル数はいくつですか?
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統計的に有意なサンプルサイズは、調査の目的や条件によって異なりますが、一般的には、400サンプルが必要です。
- アンケートの信頼度95%とは、どういう状態ですか?
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同じアンケートを同じ条件で100回実施した場合でも、そのうちの95回は誤差の範囲内に収まるという状態です。